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SOD CAFE
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あと、現実と妄想の区別がつかない人は、
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【おしながき】
■連載官能小説 『ボーン・サッカー』
 女をしゃぶりつくす人間のダニ。その反省なき半生。
         8   9 10 11 NEW! 12(連載中)


■これまでに書いたエロ小説(完結短編20数本、連載頓挫中2本)はこちら

■これまでに書いた映画感想はこちら

■オリヂナルTシャツ販売はこちら
↓こんなん売ってます。






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 はらりと、白いブラウスの前が開き、水井さんの真っ平らで、真っ白な胸が覗きました。
 
 そのときふわり、とたちのぼった、やさしい香り(恐らく安物の牛乳石けんの匂いだったのでしょうが)をわたしは今も忘れることができません。

 「……い、いい加減にしいや………お、大声出すで」

 そして、そう言って泣き腫らしながらも、気丈にわたしを恨めしげに睨んだ水井さんの目つき。

 ああ、これなんだ、とわたしは思いました。
 小学校に入学して以来、というか生まれてきてこの方、ずっと感じ続けてきた空虚。
 それを埋めるために必要なものが、今目の前にあるのだ、と。

 よくわかりませんが、わたしはずっと空しさを感じながらそれまでの10年の人生を生きて来ました。

 頭の悪い人ならば、その心の隙間を埋めるものは、実は『ぬくもり』だったのだ、とか『親からの愛情』だったのだ、とか『仲間との友情』だったのだとか、思春期に差し掛かってからとんでもない思い違いをして、そのまま強引に納得して、その後のつまらない人生を生きるのでしょう。

 しかし、悲しいことにわたしの頭はそこまで悪くなかったのです。
 わたしは、自分にとって何が必要なのか、自分はどう生きるべきなのか、をよわい10歳にして悟ってしまったのです。
 
 わたしは、女が好きなのだ。
 わたしは、女をこんなふうにねぶり回すのが好きなのだ。
 これこそが、自分の生きる道なんだ。

 まるで雷に打たれたようなショックでした。

 このまま行けば、わたしはレイプ魔か幼児わいせつ犯のようなみじめな性犯罪者になっていた可能性もあります。
 そうならずに、すけこましに成長するにあたっては、その後にそれなりの分岐があったわけですが、それはまた後ほど詳しく語ることにしましょう。
 
 「いやっ!!」
 わたしは本能のおもむくままに、水井さんの白い首筋のあたりに吸い付きました。
 なんでも、当たって砕けろです。
 なんで、とりわけわたしが女性の首筋というこれまた10歳のガキにしては恐ろしくまっとうな箇所を狙ったのかと申しますと、これはもう天性のセンスのなぜる技としか言いようがありません。
 
 「やっ………やめっ………って…………て………いう………んっ……てる……や……ろ………んんっ………」

 段々躰の力が抜け、抵抗が弱弱しくなっていく彼女の躰を、おしくらまんじゅうの要領でコンクリの壁に追い詰めると、わたしはさらに白いブラウスの奥底へ……まだ知らぬバラの蕾のあたり(ちょっと表現が詩的すぎましたかね?)……の方向に舌を進めました。
 「やめ、やめって!やめーーーさ!……ちょっと……んんっ!」

 フンガー、フンガー、と、そのときのわたしはまるでけだものでした。
 いや、今だってじゅうぶんにけだものですがね。

 彼女の肌着がのびのびになるくらいまで頭をつっこんで舌を狂わせます。

 と、どうでしょう。

 彼女の動きはますますゆるやかに、抵抗は弱くなり、彼女の鼻からは抑えようとしても漏れてしまう熱い息があふれ出してくるではありませんか。

 「んっ……はっ………んんんっ………んっ………」

 このへんは先ほど、わたしが聞き流していた彼女の複雑な家庭事情に関連し、彼女はこういった刺激に対して、それなりの態勢と習熟があり、当時のわたしなぞには及びもつかないような“高み”にあった、ということの証を見せてくれていたのかも知れません。
 
 まあわたしは必死でしたのでそれを理解することはできませんでしたが。

 その時です。わたしの人生にまたも、新たな転機が訪れたのは。

 「はむっ」
 「………ええっ??」

 水井さんが、いきなり、まさにいきなり、わたしの左耳にやさしく噛み付いたのです。
 「……んっ………はむ………」

 わたしの全身が凍りつきました。
 その瞬間まで全身をはちきれんばかりにしていた熱が、一気に冷え、風呂の排水溝に吸い込まれていくようにわたしから引いていきます。

 「んんっ………むっ………」

 と、わたしより上背のあった水井さんは、たじろいでいるわたしの肩をつかむと、くるり、と態勢を逆転させ、今度はわたしを壁に押し付けました。
 わたしはもう、なすがままです。

 する、と水井さんの舌先がわたしの耳の穴に忍び込み、入り口あたりをからかうように弄ります。

 「あっ……ひっ………おっ………」

 これまで感じたことのないようなくすぐったさに、思わずわたしは身をよじり、頭を逃がそうとしました。しかし、水井さんはわたしの頭をがっしりと掴んで逃がしません。

 「んむっ………」

 今度は水井さんがわたしの唇に覆いかぶさってきました。
 さきほどわたしがしたように……いやそれよりもむしろスムーズに、今度は彼女の舌がわたしの口の中に入ってきます。

 応戦しようと、わたしは舌を動かそうとしましたが、話になりません。

 あっという間にわたしの思い上がった舌は、彼女のもっとしたたかで、しなやかな舌に絡め取られていました。
 
 「む、む、む………」

 わたしはいつの間にか、つま先で立っていました。

 彼女はわたしの舌を弄びながら、前歯を使ってわたしの唇を甘噛みし、ぷるんとした下唇をつかってわたしの顎から鼻の下あたりまでを撫で回し、両手でわたしの髪の毛をトリートメントするようにくしゃくしゃにしてしまいました。

 わたしときたら……真っ白になった意識で、全身に電流のように流れる快感に、ただ打ちひしがれていただけです。

 やっと唇を開放されたとき……情けないことにわたしは、コンクリの壁を背に、ずるずるとその場にへたり込んでいました。

 見上げると、水井さんが、冷たい笑みを浮かべながら……あの少し悲しげな目でわたしを見下ろしています。

 「………あほ」

 水井さんはそう言うと、わたしに食いちぎられたブラウスの前をぞんざいに直すと、ランドセルを拾い上げて、そのまま走っていきました。

 彼女のランドせるがカタカタを音をさせながら遠のいていくのを眺めながら……まだ立ち上がることすらできないわたしは、自分がこれまで以上になく、肉棒を硬くしていることに気付きました。
 「それからね、あたしに布団を敷かせてな、目の前で服脱げ、いうんやんか……それで……」
 
 退屈な告白の続きを言葉にしようと、彼女が薄く口を開けたその瞬間でした。
 わたしは、10歳のわたしは、まるでインパラに食いつくライオンのように、鼠に飛び掛る猫のように、クソにたかる蝿のように、彼女の薄く開いた唇に吸い付きました。

 「………!?」

 水井さんが目を白黒させています。
 わたしは何も考えませんでした。薄い唇の間に自分の舌をこじいれ、彼女の後頭部に腕を回すと、へし折らんばかりに頭を固定。夢中になって彼女の舌を自分の舌先で捜し求めます。

 「んっ!……んんっ………」

 水井さんのしなやかな躰がわたしの腕の中でくねり、もがきます。

 腕の中、というのはちょっと正確な表現ではないかも知れません。

 といいますのも当時、水井さんはわたしより上背があり、痩せっぽちではありましたがわたしなどよりはずっと体力があった筈ですので、どちらかというとその時のわたしの姿は、たちの悪い子鬼のような妖怪が彼女に飛びついているような様子だったことでしょう。

 「んんっ…………んんっ……んっ!!」

 わたしは舌先で彼女の舌を見つけ出し、“たばたせんせい”で散々鍛えた巧みな舌技で彼女の舌を絡めとりました。

 しょせんは小娘。
 たやすいものです。
 
 「んんーーーーーーっ!!!」

 水井さんの手がわたしのシャツの肩を引きちぎらんばかりに強く握ります。
 わたしはわざと、彼女の口内から唾液を吸い上げました。
 
 ズズーーー……。

 水井さんが目を丸く見開くのを、薄目で確認します。
 そしてすかさず、自らの口内で自らのものとほどよくカクテルした水井さんの唾液を、逆流させるように彼女の口内に注ぎ込みました。
 
 「むっ!……………んっ………ふっ………んんんっ!」

 また彼女が目を見開きます。
 うろたえていたのでしょう。
 彼女のうろたえぶりを感じることで、当時のわたしの胸には言いようのない優越感が広がっていきました。

 義理の親父にいやらしい事をされた?
 それが何だ?
 お前はこんな舌と舌のやりとりを知ってるのかこの小便臭いガキめ。
 ほら、気持ちいいだろう?

 と、水井さんが馬鹿力を発揮してわたしの体を引き離しました。

 「……ぷはっ……やめて!」
 
 一旦は彼女の躰から引き離されたわたしでしたが、諦めはしません。涙に濡れ、狼狽に歪んだ水井さんの顔を見ると、これまで感じたことのないような攻撃性が自分の中で亢まっていくのがわかります。
 
 はっきり言ってこんな攻撃性はこれまで感じたことがありません。

 どれほど同級生の男子児童たちにからかわれようと、理由のないいやがらせやいじめを受けようと、まったく平静を乱されることのなかった当時のわたしの胸は、鼓動の亢まりとともに、冬の日本海もかくやと思われるほど大荒れに荒れていました。

 「いや!……やめて!……っちゅーか……やめーさ!!!

 もがく水井さんの躰に、またも自分の両腕を巻きつけます。

 さて……。

 その先をどうしたものか?

 今となってはこういう局面に立てば、少なくとも頭の中のスクリーンに8つほどの行為の選択肢が分枝として表れ、そのひとつを選ぶか、もしくはそのうちの2~3個をいかにミックスして女を攻め立てるか、立ち食いそば屋で何を食べるか、そばのトッピングは何にするか選ぶくらいの余裕を持って考えることができるわたしではありますが、なにせ当時はまだ10歳です。

 とにかく、実体験がないのだからここは本能にたよるしかない。
 
 わたしは水井さんの唇に再び吸い付くような姿勢を見せて、彼女にフェイントを掛けました。
 と、彼女が二度も不意打ちを食らうまい、と顔を背けます。チャンスです。
 
 わたしが狙っていたのは、顔を背けたことでむき出しになっていた水井さんの首筋だったのです。
 
 「……あっ!……んっ……ちょ、ちょっと………や、や、やめ……」
 
 首筋に吸い付き、舌を這わせました。
 まさに感覚と本能の赴くままに。
 ぴくり、ぴくり、と水井さんの伸びやかな躯がわたしの舌の動きに合わせて明らかな反応を見せます。わたしはなんとも言えない満足感を感じました。
 
 ちなみに、このキスをすると見せかけての首筋へのフェイント攻撃は、一人前のすけこましとなった今でもわたしの得意技です。

 しかしまあ、一体どこでわたしはあのような行動を学んだのでしょうか?

 事実、”たばたせんせい”との濃厚なキス修練以外に、性体験や性知識は皆無に等しい状態でしたし、当時は今のようにパソコンを開けばポルノコンテンツが手に入ったわけではありません。
 でも、わたしは、なんとなーく、女性というものは首筋を責められるのが弱い、ということを直感で掴んでいた。

 これはもう、一種の霊感に近いものであると言わざるを得ません。

 わたしはそうした霊感に従って、水井さんへの攻めを続けました。

 さらに彼女の躯に手足を強く巻き付けます。
 両腕は彼女の二の腕をそれぞれ固定すると、背中で自分の左手と右手をガッチリとドッキング
 両太ももで彼女の左太ももを挟み、万力のようにギリギリと締め上げます。

 激しく硬直していた肉棒が彼女の跳ね返すように堅い弾力を持った太ももに擦れ、とても気持ち良かったのを覚えています。
 
 「あっ!…………い、いやあ……」
 
 彼女はわたしから受ける首筋への攻めを躯をよじることで交しながら、腰を振ってわたしの太ももの間から自分の脚を逃がそうとしていました。
 

 複雑な事情の家庭でそれなりの体験を積んでいた(であろう)彼女のことです。


 恐らく、ズボンの下からとは言え、わたくしの肉棒の剛直が、自らのむき出しの太ももに触れていること、そしてそれが彼女に対するわたしの、どんな感情を意味しているかは……充分に理解できたことでしょう。

 
 「ひっ!……ちょ、ちょっと!」

 わたしは彼女のブラウスの胸元のボタンを強引に前歯で食いちぎりました

 いや、ものすごい大胆さだったと、我ながら呆れ返ってしまいます

■つづく■

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テーマ:官能小説・エロ小説 - ジャンル:小説・文学

 「誰にも言わんといてね……」
 
 あの普段でさえ伏目がちの水井さんが、長い睫毛を下げて、わたしの目の前でそう呟いたときのことは今でもはっきりと思い出すことができます。

 あのときの水井さんの物憂げな表情を思い出すと……えーと、何でしたっけ?……ああ、そうそう“肉棒”が硬くなります。
 いまではすけこましで食っている身分のわたしですが、ときに、いざという時、ここ一番という時、肉棒がしっかり硬くならないことがあります。
 
 そりゃあわたしもすけこましとはいえ人の子ですからね。

 そういうときはいつも、この日の水井さんの表情を思い出すようにしています。
 そうすると、みるみるうちに肉棒が活気を取り戻すのです。

 「……あたし、家帰るのんいやなんよ……」水井さんが言いました「……家、嫌いやねん。学校も嫌いやけど」

 「なんで……?」

 なんで彼女が家に帰りたくないのか、そんなことははっきり言って当時のわたしにとっても現在のわたしにとってもどーーーでもいいことなのですが、ここは興味あるフリをしておいてやるしかないでしょう。

 「……家に帰ったら…………イヤなことがあんねん」
 そこで、彼女はぶる、っと身を震わせました。
 「すごい、イヤなことが」

 「イヤなことって…………何?」

 そういう質問をするべきではなかった、と今となっては後悔しています。
 聞いてどうなるわけじゃなし、何ができるわけじゃなし。

 まあ、改めて聞いてみなくても、養父か、義理の兄か、または実の父か兄かなんかに、いやらしいことをされている、くらいの話でしょう?

 聞いてみるまでもありません。
 
 しかし、10歳の子供にとって、世の中のほとんどすべては未知なのです。
 そして、その多くが自分には関係がない、ということもまた、知るはずもありません。
 「…………聞きたい?」水井さんの、声は震えていました。「あんたにだけは……教えてあげる」


 と、水井さんがわたしに覆いかぶさるように抱きついてきました。
 彼女はわたしより身長が3~4センチ高かったと思います。
 わたしは、しばらく大人しくしていました。
 やがて、シャツを通して、彼女の熱い涙が沁み込んでくるのを肩に感じました。

 すばらしい。人生で2回目のすけこまし成功です。

 
 「……誰にも……誰にも言わへんって……約束できる?」


 熱い息とともに、水井さんがわたしの耳元で囁きます。
 耳元でそうやって小さな声で囁かれると、全身がゾクゾクするということはそのときはじめて知りました。

 「おとうさんがね………、おとうさんというか……あのおっさんがね……」

 彼女の小声の告白が始まりました。
 細部は割愛いたします。
 予想したとおり、ある日水井さんがお風呂に入っていると、お母さんの再婚相手である男が酒臭い息で入ってきて、その日以来……という類の話。
 わたしも細部は覚えていませんし、まああまりにもありふれた話なので退屈です。

 それよりもその時、当時は精通もまだでしたが、わたしの肉棒は激しく硬くなっていたのを良く覚えています。
 彼女の告白のせいではありません。
 彼女の髪の匂いや、肌で感じる鼓動、肩に落ちる涙、囁かれる涙声、すべてが当時10歳だったわたしを激しく欲情させていたのです。

 わたしはもう、居ても立ってもいられなくなりました。

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 世間一般では、このような状態のことを“初恋”と呼ぶのでしょう。
 口にするだけでわたし自身の全身にジンマシンがでそうですが、これをお読みの皆様も、わたしのような人間から、そのような思い出話を聞かされるのはたいそう不快なことでしょう。

 なんだか、皆さん方がそれぞれ胸に秘めておられる、「初恋」の思い出が汚されるようで。
 
 まあそのへんは犬に噛まれたとでも思って諦めてください。
 こんな男の思い出話につきあったのが運の尽きです。
 
 はてさて水井さんに対してわたしが抱いたのは、
 “この子はほかの女子とは全く違う”という、いわば直感のようなものでした。
 
 彼女のひときわ貧乏くさい身なり、ややもすれば早くも少々所帯染みた感がある表情の憂い、無口だけどもときおり出る言葉の中に見られる、一種の「つかれ」……
 
 つまり、彼女には『中身』があったのです。
 
 ほかの女子児童たちは、男子児童たちと同じく、中身がカラッポです。
 人間の体はなしているけれど、人間ではない。
 
 思えばこの頃からわたしは、自分でも知らぬうちにこの「すけこまし」という陽の当たらない道を歩むための素地を育んでいたのでしょう。
 つまり、しゃぶりつくものが無いものには、惹かれない。
 中身の詰まっていないカニを見分ける魚屋さんや、果肉がスカスカの西瓜を見定める八百屋さんが持つような、独特の感性が、わたしの中にはすでに芽吹いていたのです。
 
 わたしは次第に彼女に惹かれていきました。
 それを初恋と呼んでいいものなのか、世間がどのように捉えるのかはわたしにはわかりません。
 
 しかし、これがわたしが生まれて初めて……他者に……それがつまり、骨までしゃぶりつくす対象としてとはいえ……興味を惹かれたはじめての季節なのです。
 
 笑いたければ笑ってください。
 多かれ少なかれ、皆様が体験した「初恋」も、わたしのこの体験とさして違いがないものだったことでしょう。
 わたしはただ、正直に語っているだけです。
 
 とにかくわたしは、その少女、水井さんと仲良くなろうとしました。
 これまでとは人が変わったように能弁になり、彼女のご機嫌をとり、歯の浮くようなお世辞を並べ立て、なんとか彼女の関心を買おうと必死になりました。
 
 恐らくそれまで、彼女には他人からあからさまに関心を持たれるような経験は無かったのでしょう。
 彼女は戸惑っているようでした。
 何か、わたしを恐れているようでした。
 
 「その服、かわええね」とか
 「その筆箱、どこで買うたん?」とか
 「兄弟は何人おるん?」とか
 「カレーうどんとカレー丼、どっちが好き?」とか。
 
 いろんな事を陽気ぶって聞いては、彼女の気を惹こうとしたものです。
 確かに少し、気持ちの悪い同級生です。
 
 しかし、当時のわたしは諦めませんでした。
 はっきり申し上げて、すけこましの基本は粘り強さです。
 まさに粘着質こそがすけこましの真骨頂。

 ルックスには相当の自信を持っておりましたわたしでしたが、それだけで水井さんの気が引けると考えるほど、自惚れていたわけではありません。
 
 ここでわたくしの思い出話につきあっていただいている読者の皆様に、耳寄りな情報を。


 女性は決して、男性のルックスだけに惹かれて魅力を感じるのではありません。
 男は顔ではない、というのは不細工に生まれついた男の負け惜しみだと思って、鼻白んでしまっているあなた。それは間違いです。

 はっきり言って、顔がいい男は自惚れ屋が多い。
 当時10歳だったわたくしがそうであったように。

 たまたま男前に生まれついてしまった読者の皆さん、気をつけてください。
 自分の顔という天性の素材を過大評価し、それさえあれば女性のほうが向こうからやってくるという誤った考えからは、出来るだけ早い段階で卒業するべきです。

 わたしの場合は、その誤りを10歳の段階で正すことができました。
 すべてはこの少女、水井さんのおかげです。

 とにかく彼女は、他の女子児童たちと違って、わたしの美貌に一向に関心を示さなかった。むしろ……水井さんは、わたしのことをちやほやするような女子児童たちを、一段上の地点から、冷ややかに見下ろしていたようなところがある。
 
 つまり彼女が抱えている空虚に対して、わたしはあまりにも眩しすぎたのでしょう。

 美貌を有している人間は、その分、謙虚でなければなりません。
 うわべだけでも、やさしく、物分りよく、まめに、気さくに、接することが求められてきます。

 わたしは辛抱強く水井さんの心の警戒を解くための努力を惜しみませんでした。
 熱心に話しかけ、笑わせ、注意を惹き、自分の性格のよさを嫌味なく見せ付けながら……。

 やがて水井さんはわたしと口を効いてくれるようになり、休み時間などは教室で話し込むようにもなり、そして学校の帰り道を一緒に帰るようになりました。

 ある日の帰り道……わたしは通学路にある児童公園にある、人目につかないコンクリート製の滑り台の裏で……水井さんと二人きりになることに成功しました。

 10歳の、わたしの勝利です。


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 「あなたみたいな被疑者ははじめてです」その女刑事が言った。「一体、いきなり電車の中で女子高生の口に指を突っ込んで何が楽しいんですか?」


 まだ30前、というところだろうか。
 ダークグレーのスーツに白いブラウス、髪は後ろでひっつめにしている。
 ダサい身なりだ。
 基本的にファッションには関心がないのだろう。
 

 少し神経質そうだが、とても整った、かしこそうな顔をしている。
 眉が印象的で、きりっとした意志的な彼女の性格を表している。


 しかし残念なことだ。
 見かけほど彼女は知性にも感受性にも優れているわけではないらしい。

 
 わたしはカツ丼を食べ終えるまで返事をしなかった。
 別に黙秘権を行使してるわけじゃない。
 こいつにはわたしを裁く権利はないな、と改めて悟ったまでの話だ。


 「あの、聞いてます?」刑事はさらに続けた。「何すましてるんですか?……いい年して、いったい何考えてるんですか?……被害者の女の子、かわいそうに泣いてましたよ。よっぽど気持ち悪かったんでしょうね。わたしがあの子だったら、あなた、窓から放り出してるとこですよ。一体全体、どういうふうに生きてきたら、そんなに気持ち悪くなれるんですか?……ねえ、聞いてんだよって
 「……タバコ」
 「は?」
 「……タバコ……一本いただけますか」
 「いい度胸じゃねえか!

 女刑事が立ち上がってスチール机に蹴りを入れた。

 細くきれいな脚だったが、その蹴りは重かった。
 彼女ならわたしを一瞬でぶちのめし、窓から放り出すのはわけないだろうな、と思った。
 ブリキの灰皿が天板から床に転がり落ちて、派手な音を立てた。
 
 どうってことはなかった。
 オマワリなんか、この程度の連中だ。
 この女刑事さんも、しょせんは単なるオマワリでしかないらしい。


 「……刑事さん、聞きたかったんじゃなかったんですか?……わたしがなぜ、あの女子高生の口の中に指を突っ込んだのかを?」わたしは咳払いし、刑事を見上げた。「わたしの説明を聞けば、刑事さんもよく理解できるし、調書も作成しやすいんじゃないですかねえ?」
 「『なぜ』って、変態が何考えてようが、知ったこっちゃねーっての!」
 「……わからないだろうなあ……女性には
 「は?」女刑事の顔が、かっと赤くなる。「いま、なんつった?お前?
 「しょせんは女性ですからね。男性の気持ちなんか、結局わからないだろう、つったんですよ」
 「………この野郎……」


 怒ってる怒ってる。
 こう言えば怒ると思ったよ。
 今、女刑事さんは冷静さを取り戻そうと必死のようだった。
 その様子を見ていると……なぜか軽く勃起してきた。


 女刑事はしばらく、じりじりしながら、わたしが座る席の周りをうろうろと歩き回った。
 なかなか自分を取り戻せないのだろう。
 わたしは、彼女が落ち着きを取り戻すのを辛抱強く待った。
 
 20分も経ったろうか……ついに彼女は根負けした様子で、大きくため息を吐くと、椅子に座りなおした。

 「……わかりました。じゃ、聞かせてもらいましょう。あなたが……その女子高生の口に指を突っ込んだ理由って何?わかるように説明してちょうだいよ」少し口の端をゆがめて、挑戦的に、底意地悪そうに笑う。「……できるの?ちゃんと、まともな人間にも理解できるように説明できるわけ?」


 タバコが差し出された。
 わたしはそれを一本受け取り、女刑事が差し出してくれたライターで火をつけ、深々と煙を吸い込んだ。
 床に落ちていた灰皿は、女刑事の手によってまた机の上に戻された。


 「まず、わたしが10代だった頃の話をしましょう……わたしにはじめて彼女ができたのは、高校一年生の頃……そう、16歳の頃でした。あれから20年かあ……時の流れは早いものですね……なんですか?……わたしにそんな頃があったなんて、信じられませんか?……刑事さんにもあったでしょう?……16歳のころが?……時々、思い出してなんとなーく空しい気分になることはないですか?……あの頃は良かったなあ……とか、あの頃に比べて、今の自分はなんて穢れてしまったんだ……とか思ったりしてね」
 「……いや、穢れてるのはあなただけだから」
 「刑事さん、その頃は恋愛をしたりしましたか?」
 「あなたには関係ありません」女刑事はぴしゃりと言った。
 「……今、つきあってる男性はいたりしますか?……あ、ひよっとすると処女だったりして」

 
 女刑事は無言で机の脚を蹴った。
 机の上で灰皿が駒のように回る。
 まあいい……わたしは話を続けた。


 「まあいいです。とにかくわたしは16歳の頃、はじめて恋をしました。ええ、クラスメイトの中津川さん……いやあ、いい娘だったなあ……肩までの長い髪がとてもきれいでね……頭のいい、とても素直な子でした……怒ると、すぐ顔に出ちゃうとこなんか、とっても可愛かったなあ……あ、そういえば、怒ったときの顔がちょっと刑事さんに似てたかもですね」
 「いいから。続けて」
 「……まあ当時は子どもでしたし、当時の子どもは今の子どもとは違いますからね……わたしたちも、ほんとうに清い交際を続けていたもんですよ……ええ、日曜日ごとに公園でデートしたり、自転車二人乗りしたり、動物園に行ったりね……まったく、あの頃はよかった。何もかもが、キラキラと輝いて見えたもんです。
 「……手をつないだのも、付き合い出して2ヶ月経ってからのことです……はじめて中津川さんの手を握ったときの感覚は、今でもはっきり覚えています……ちょうど今くらいの、暑さも少し和らいできた季節の、学校の帰り途のことでした。
 とても柔らかい……ちょっと湿った手でしたね。無論、わたしの手の平は緊張でもっと汗ばんでいて、不快だったでしょうけど……」


 そういいながら、わたしはじっと自分の手を見た。
 ちらりと女刑事を見上げる。
 その表情は、まるでゴキブリでも見るような不快感を露にしている。


 「……ええ、本当に清い交際でした……結局、二人はセックスはおろか、結局キスすらできませんでした……もちろんわたしも当時16歳。頭の中はいやらしい妄想で一杯でしたよ。
 毎晩のように、夏服のブラウスの下にある、中津川さんのほっそりとした伸びやかな躰を思い描いては、オナニーに耽ったものです……あのかしこくて爽やかな中津川さんに、様々な姿態を取らせては……恥ずかしい下着を着せては……あるいは全裸にひんむいては……妄想の中で彼女の体をまさぐり、捏ね、揉みしだき、思うがままに弄んだものです……」
 ………いいから続けて。ってか、手短かにしてくださいね。余計なことはいいから」
 
 女刑事は苛立ちを隠さなかった。

 「……でもね、その当時のわたしはまだ、女性の躰というものに触れたことがなかったんです。
 ……唯一の例外、中津川さんの手のひらを除いてはね。
 だから……妄想するときは、彼女の手のひらの感触を思い出し、それをできるだけイマジネーションで拡大して、そこから彼女の細い肩や……少し長めだった胴の細い腰や……小ぶりな乳房や……スカートから覗く、すらりとした健康的な太腿や……少年のように固そうなお尻や……まあ、あとは絵として思い浮かべる手立てもなかった、彼女の太腿の奥にある……新鮮で、濡れそぼり、小さく恥ずかしそうに身をすくめている……その女の部分の感触を……演繹的に想像していくしかなかったのです。
 ……妄想の中のすべての感触の原型は……彼女の手のひらの感触でした。
 少し湿った、少し冷たい、柔らかい手のひらだったのです」
 「……はあ」


 女刑事の不快感が、どんどん増していくのを全身で感じ、わたしの気分も高まってきた。


 「……でも当時のわたしはほんとうに純粋でした……妄想の中とはいえ、そんなふうに彼女のことを好き勝手に弄んだあとは……そりゃあもう、毎度のように痺れるような射精感を味わったもんですが……その後には決まって泥のような後悔と懺悔の気持ちに打ちひしがれるのです。
 ……目の前のティッシュの中に吐き出された、自らの精液が濃厚であればあるほど……その透明度が低く、その色づきが白よりもむしろクリーム色に近ければ近いほど……その質感が、粘液というよりはほとんど水銀に近いような状態であればあるほど……
 わたしは激しい罪悪感に我が身を焦がしたものです……ティッシュの中の精液の濃さが、わたしの罪深さの証でした」

 「そのへん、もういいから」女刑事が、先を促した。

 「……失礼しました……中津川さんを思い描いてオナニーに耽った翌日などは、彼女の目もまともに見れないくらいに、当時のわたしは善良で性的なことに関しては奥手だったのです。
 中津川さんのほうも、同じであるように思えました……彼女は性的な興味とは……これはあくまで当時の16歳のわたしから見た印象でしかありませんが……まったく無縁であるようにさえ思えました。それほど、彼女の印象は清清しく、透きとおった、侵しがたいものでした。
 ……まあ当時、童貞で、家族には女兄弟がいなかったわたしには、少なくともそのように信じられたのです……今となってみれば……彼女だって、わたしと同じだったはずです。……そうでしょう?刑事さん?……刑事さんだって、それくらいの年ごろには……セックスに対する憧れでいっぱいだったでしょう?……片時もセックスに関する考えが、頭を離れなかったでしょう……?……そうじゃないですか?
 ……16歳のときを思い出してください……それくらいの年齢の子どもたちにとって、セックスというのは最大関心事項であるはずです。男も女も関係ありません……刑事さんだって、それくらいの年齢には好きな男子の一人や二人、いたでしょう?……夜、ベッドの中で眠りにつく前に……その男の子たちと、淫らなことをする妄想にふけり、パジャマのズボンの中に手を突っ込んでいたでしょう……?………ねえ、どうですか、刑事さん……ひょっとして、今もそうですか?


 女刑事が、また机の脚を蹴った。
 今度はまた、灰皿が床に転げ落ち、わたしがそれまでに出した灰が床に飛び散る。
 わたしは灰皿を、自分で拾った。
 指の間に挟まったタバコはもう、半分以上が燃え尽きている。


 「……まあいいでしょう。当時のわたしには、そんなことは思いも寄りませんでした……中津川さんに対して、そんなふうな妄想を抱いているのは、わたしの方だけで……彼女のほうはわたしのイノセントな思いを信じきっている……そんなふうに思えたものです……わたしは何か、彼女を騙しているような……彼女を裏切っているような……そんな思いを拭えませんでした……あの日……夏休み最後の日曜日に……遊園地でふたり、観覧車に乗るまでは」
 「……はあ……やっと話が核心に近づいてきましたね……」


 女刑事が、またため息をつく。
 わたしは短くなったタバコを、控えめに吸い込んだ。
 パチパチと、葉がはぜる音がした。


 「観覧車が一番高い位置に近づく少し前……西日の差し込むゴンドラの中で……中津川さんが不意に口を効いたのです。
 
 『あたしと……キスとかしたくないの?』
 『え?』わたしは、わが耳を疑いました。
 『……つきあってけっこう経つけど、あたしにキスしたいとか思わないの?』……彼女は妙に落ち着いた声で続けました……『……キスだけじゃなくて、おっぱいに触りたいとか……服を脱がせたいとか……あそこを触りたいとか……そんなこと、したくないの?
 『そ、そんな……』あまりに突然で、わたしは返答に困りました『で、でも……き、君がいいなら……』
 
 そのときに、中津川さんが見せた寂しそうな笑顔は、いまでもたまに夢に見ることがあります。

 『……もうだめ。あたしのほうから言うまで待たせたから、あんたの負け』そして、また窓の外に視線を移すと……呟くように言いました『わたしたち、別れましょう』 
 『…………』

 まったく……なんとあの頃のわたしは、幼く、愚かだったのでしょうか……まあ若いころのことを思い出して、悔やんでも悔やみきれないことや、顔から火が出るほど恥ずかしいことのひとつやふたつ……誰にだってあるものでしょう?……ええ、今から思えば……あの瞬間にわたしの人生は変わったのです。
 女性が自らの思いを口にするまで、待たせてはいけないんだ。
 それが彼女がわたしに教えてくれた、人生の教訓でした」

 「ちょっと待ってよ」女刑事が口を挟んだ。「だからって……電車の中で見ず知らずの女子高生の口の中に指を突っ込んだって………ええ?それで世間様が納得するって……マジで考えてるの?」

 さんざん気を持たせてこれかよ、という調子で、女刑事は失望と怒りをむき出しにしていた。
 これだから素人は困る。

 「……刑事さん、話は最後まで聞いてください。わたしの話の核心はここからです。
 ……観覧車のゴンドラはゆっくりと下降をはじめました……中津川さんの口から告げられた突然の別離に……わたしは完全に混乱し、言葉を失っていました……。
 
 彼女のその時の心境をほんとうに理解できたのは、それからずっと大人になってからのことです。……当時のわたしには、何がどう悪かったのか、一体何が彼女にこんなふうな別れを決断させたのか……まったく理解できませんでした。ただただ、混乱する一方でね……その直後の中津川さんの行動は、さらにわたしを混乱させました。
 
 『手、かしてよ』中津川さんが不意に言いました『ねえ、早く』
 
 わたしは意味もわからず、自分の右手を彼女に差し出しました。彼女は……あの湿った、冷たい手でわたしの手をそっと包み込むと……自分の顔に引き寄せ、目を閉じて……わたしの人差し指を、口に含んだのです

 「え?」女刑事が、ぽかんと口を開ける。

 「あっ、と思ったときには、もう彼女の舌は淫らに動き始めていました。彼女のちいさな、熱い舌先が、わたしの人差し指の爪の甘皮のあたりをまさぐったとき……わたしの躰は、ぴょん、と座席から跳ね上がるくらいの生まれてはじめての戦慄におそわれました……。

 ええ、毎夜重ねていた空しい自分への慰めから得られる快感など、あの中津川さんのいたずらな舌が奏でた愛撫に比べれば……蚊のひと刺しのようなものです……そのとき、手も洗っていなかったですし……わたしの汚い指が、彼女の穢れのない口内の粘膜を犯しているかと思うと……昨日も、彼女の淫らな姿態を想像しながらその人差し指で、自分の躰の一番きたない部分である陰茎の先、尿道口のあたりをまさぐったことを思うと……その罪悪感が、背徳的な快感となって静電気のようにわたしの全身を駆け巡りました。
 
 全身の感覚が、中津川さんが舌でからかう指先に集中したようでした。

 彼女にしてみても……そんな経験はこれまでになかったはずです。これは、青春の思い出を清らかなものにしておきたい穢れた大人としての今のわたしの願望ではなく、事実だと思います。

 経験がないからこそ、彼女の舌先の動きは、かくも淫らだったのです。

 恐らく彼女は、当時のわたしと同じように……はちきれんばかりの性への憧れと妄想の中で喘ぎ、慰めても慰めてもあふれ出る欲求のはけ口を、どこかに求めていたのでしょう。
 いたずらで、きまぐれで、ひたむきで、かつ創意工夫に富んだ彼女のその舌使いに、すべてが表れていました………。

 ゴンドラが地上に戻るまであと少しでした……わたしは、夢中になって彼女の右手を取り……その人差し指を口に含むと……彼女の気持ちに応えるように、舌を使い始めたのです……」

 「……それから?」女刑事が聞いた。のない彼女の声を聞くのは、これがはじめてだった。「それから、どうなったの?」
 「何も」わたしは答えた。「ゴンドラを降りて、遊園地を出て、二人で電車に乗って……それぞれ、お互いの家に帰りました。それっきりです。卒業までに学校では顔を合わせましたが……それ以来、一度も口を効いたことはありません」
 「…………はあ」

 女刑事は、何か居心地が悪そうに椅子の上でもぞもぞと動いた。

 「それからですね。わたしが女性の口に……興味を持ち始めたのは。あれから何人もの女とセックスしました。中にはひどい女もいたし、いい女もいました。中津川さんに似たおもかげを持つ女もいましたし、まったく正反対の印象の女もいました。……でも……セックスするときわたしは……いつも女の口に指をこじ入れて、女がわたしの指にどんなふうに舌を絡めてくるかを試すのです
 ……それでセックスの価値を計るようになりました……いろんな女がいましたよ……ちゅぷちゅぷと、くちびるでわたしの指の側面を扱く女。指の根本までくわえ込んで、全体に舌を絡めてくる女……そして……中津川さんみたいに……指先だけを、戸惑いながら……やさしく、いたずらに、くすぐってくる女………」

 女刑事の顔に、また険が戻ってきた。

 「……そのうちに、わたしはセックスそのものを、必要としなくなりました。要は、女の口の中に、指さえ入れられればいい。どうせ入れるなら……見知らぬ女子高生のほうがいい……中津川さんのおもかげを、少しでも味わえるのだったら」

 不意にわたしは、人差し指を女刑事に突き出した。

 「……刑事さんのその怒った顔が、中津川さんにほんとうによく似ています」そして、声のトーンを下げて言った「どうです……刑事さんも……味わってみませんか?わたしの指


 女刑事はにっこり笑うと、まるで宣誓するように、右の手のひらを自分の肩の前で翳した。
 そしてそのまま、勢いよく手のひらを前方に突き出した。
 突き出した先には、わたしの人差し指があった。




 折れなかったが、わたしの人差し指は3倍に腫れあがった。
 弁護士にどうしたのか、と聞かれるだろうが、『不注意でつき指した』と答えるつもりだ。



 それがわたしの矜持である。


【完】 

テーマ:官能小説・エロ小説 - ジャンル:小説・文学

 ええ、主人は、いつもその……セックスのときに……あのクスリを使いました。


 ってか……なんでわたしがこんなことを説明して、はずかしめを受けなきゃいけないんですか?


 ……はい、主人があのクスリを使用していると知ったのは、去年の暮れのことです。
 最初はほんと、信じられませんでした。
 稼ぎは少ないけど、わたしにも息子にも、とっても優しい主人だったのに……。


 「一体、何を考えてるの???あなた、一児の父なのよ?」って……わたし、泣きながらあの人に言いました「もう少し、オトナとしての自覚を持ってよ!!」
 

 するとあの人、まるで子供みたいにふて腐れてしまって……。
 確かに子供っぽいところが多い人でした。
 でも、わたしも彼の……そんな子供っぽいところに母性本能をくすぐられたことは事実です。あの人と一緒になろうと思ったのも、そんな彼のことをカワイイと思ったからでした。少年みたいに拗ねる彼の仕草が、なんか愛おしくって……でも、いつまでもそんな彼を許していたわたしも、悪かったのかも知れません。


 「……どうせ俺にはオトナの自覚はねえよ。稼ぎもお前より少ねえしな」
 「そんなこと、言ってんじゃないでしょ??」
 「そういうお前はどうなんだよ。いつまでも若くねえんだぜ?……その調子で、いったいいつまで稼いでいけると思ってんだよ?」
 「稼ぎのことなんか話してないじゃない!!」わたしは思わず声を荒げていました。「あ、そう?稼ぎのこと?あなたが稼ぎのこと言うんだったら、あたしも言うわよ。いったいあんたのそのろくでもないクスリ、いったいいくらで買ってきたのよ!あんたの少ない稼ぎで、よくもまあそんなもんを買える余裕があったわね!!」
 「ろくでもないクスリだって?」

 彼はいきなり、立ち上がりました。
 すごい剣幕でした。
 あ、わたし、殴られる、と思いました。

 殴られるか……それともその時、子供が学校に行っていたので……つまり自宅に、わたしと主人のふたりっきりだったので……押し倒されて、そのまま……ヤられちゃうかな、と思ったりもしました。
 たまに主人はそんなふうに子供っぽくキレると、そういうことをしてくることがあったのです。

 
 そういうときはなんだか……わたしのほうも……さっき言ったみたいなヘンな母性本能みたいなのを掻きたてられちゃって……ええ、ヘンだというのは自分でもわかっています……ああ、怒ったからってこんなことしかできないこの人って、ほんとカワイイ、みたいな感じで……彼のことがすっごく愛おしく思えてきたりなんかしちゃって……なんだか激しく、燃えちゃうんです。


 そんなわけだったので、わたしはその時、一瞬だけ、期待してしまいました。


 「……な、何よ。殴る気……?それとも……」わたしは言いました「……それとも……」
 「お前、今、このクスリのことろくでもない、って言ったよな??」
 「え?」
 「何でお前、このクスリのことをろくでもない、なんて言えるんだよ??……やってみたことないだろ?……ええ?」
 「……な、何言ってんの?」

 キレるのそこかよ
 わたしは正直、がっかりしました。
 っていうか……そんなところでキレるなんて……ああ、この人は一体どこまで子供なんでしょうか。

 「やってみたこともない奴に、このクスリの素晴らしさがわかってたまるかよ!……なんでお前、やってみたこともないのに、この俺にそんな偉そうに説教できんだよ!」
 「………わたしたち、別れましょう」

 思わず、口走ってしまいました。
 
 「え?」
 
 その時の彼の顔といったら……さっきまで怒りで真っ赤になっていた顔が、おもしろいようにどんどん青ざめていきました。

 「別れましょう……あの子は、わたしが引き取るから。慰謝料とか養育費とか、そーいう面倒くさいことはもう、あなたに期待しないから。ええ、もうわたし、ウンザリよ」
 「う……嘘だろ?おい、冗談だろ??」
 「冗談じゃないわよ!マジよ!大マジよ!超マジよ!」
 「……待ってくれ……待ってくれよ……なあ……」
 「もうイヤ!こんな生活!!あんたの顔見るのもウンザリよ!!」

 気がつくとわたしは大声で泣いていました。
 
 彼はおろおろしながら……いろいろと弁解と泣き言を並べ立てはじめました。
 
 稼ぎが少ないことから、わたしに引け目を感じていたこと……。
 事業が思うように伸びず、日頃からストレスを感じていたこと……。
 子供の将来のことや、わたしたちの老後のこと、彼の兄弟はそれなりに成功しているのに、親戚中でも自分がいちばん冴えない生活を送っていることの劣等感……仕事仲間から、『髪結いの亭主』呼ばわりされているのではないかという被害妄想……そしてついにたどりついたのが、このクスリによるつかのまの現実逃避だった……みたいな話でした。

 はっきり言って、目新しいことやちゃんとまともに聞くべきところは、何もないような話でした。

 
 「……でも……このクスリをやってるときだけは、すべてを忘れて、いい気分になれるんだ……」
 彼は言いました。

 え、そうなの。
 わたしや、息子と過ごしている時間はどうなの。
 それからも逃避して、こんなろくでもないクスリに逃避していたいの……?

 ますます、絶望的な気分になりました。
 目の前が、ほんとうに……一段階、暗くなったような気がしました。
 わたしこそ、そんな現実から、もう逃げ出したくなってしまいました。


 「……そのクスリ……」わたしは言いました「……ほんとに、そんなにいい気分にさせてくれるの……?そんなに素晴らしいもんなの……?」
 「え?」彼はぽかんとしました。その顔は、間抜けそのものでした。
 「……ねえ、そんなに素晴らしいクスリなんだったら、わたしもそれ、試してみるよ。……あなたがそんなに入れ込んじゃうくらいなんだもの……さぞ、いい気持ちなんでしょうね……ねえ、どうやってそのクスリ、やるの?……やっぱり注射かなんか使ったりするわけ……?」
 「ははは!」彼は、急に元気になりました「そんなわけないだろ!俺が注射大っきらいなの、知ってるだろ?……お前もそうだし……まあ、チビの奴も注射が嫌いなのは、さすが俺らの子、ってとこだよな!!」

 明るい人でした。

 「……じゃあ……どうするの?飲むの?……映画みたいに、鼻から吸うの?」
 「それもあるけど……もっといいやり方があるんだぜ」

 彼はそういうと、意味ありげに笑いました。




 ……ここから先は……法律上の問題もありますので、あまり詳しく説明することはできません。
 たとえこういう場だからと言って、違法な薬物の使用法に関する情報を事細かに伝れば……青少年にどんな悪影響をもたらすかわかりませんし。

 そう、わたしだって、一児の母です。

 ドラッグが蔓延し、これ以上たくさんの子供たちがその犠牲になることは……決して望みません。
 そんなことは、あってはならないことです。
 青少年の間にドラッグが蔓延することの理由には、やはりドラマやマンガや、こんなケータイ小説みたいなものが……いかに、表向きのメッセージは『ドラッグの恐ろしさを子供たちに知ってもらいたい』みたいな感じでも……その魅力を大げさに、そしていかにもカッコイイことであるかのように、無反省に表現するからじゃないでしょうか。


 だから、わたしも……その利用法については説明を割愛したいと思います。
 しかし、その恐ろしさについては、経験者として語る責任があるとも思っています。




 約一時間後、わたしと主人はお互いに全裸で、ベッドの上で屠りあっていました


 わたしは左のわき腹を下にして右脚を高くあげ、主人がそれを肩に担ぎ上げる格好で……激しくわたしに打ち込んできます。
 
 いわゆる、『帆掛け舟』の体位でした。
 『松葉くずし』とも言うらしいですね。


 「ほら!ほら!ほら!ほら!ほら!ほら!」
 「ああんっ!!あはっ!!はあんっ!!すっ……すごい、すごいっっ!!!!」
 「ほら!どうだ!いいだろ?すげえだろ?たまんねえだろ!?」
 「あああああんっ!!すごいっ!!た、たまんないっっっ!!」

 ……ほんとうにそれまで体験したことのない凄まじいまでの感覚でした。

 主人が突き入れるたびに、わたしの頭の中ではまるでお寺の鐘のような、雷鳴のような轟音が響き渡り、目の前に七色の火花が散ります。
 主人が腰を引くたびに……まるで自分の内臓が引き抜かれたような心もとない、切ない感覚がわたしを襲い、ほんの一瞬後の主人の一突きを求め、待ちわびるのです。
 
 「……もっと!もっと!もっと深く突いて!そこ!」
 「こうか?これかこうか?」見上げると主人の瞳孔は、完全に開いていました「すごいだろ?こんなの初めてだろ?ほら、どうなんだ?もっと言ってみろよ!」
 「さ、さわって……もっとさわって……全身、めちゃくちゃに触って!!」
 「こうかあ?どうだ?ああ?こうかあ?

 主人はわたしの乳房を握りつぶすように鷲づかみにして、めちゃくちゃに揉み込みました。
 肉を引きちぎるかのような、ほとんど暴力のような愛撫でした。

 「ああああんんんんっっ!!!……な、なんで?なんでこんなに………なんでこんなにいいのお????………し、死んじゃう」

 主人の手が全身を這い回ります。
 わたしの感覚は普段の10倍、100倍、いや1000倍……いいえ、とても数値化できないくらいに倍増されていました。
 どこをやさしく撫でられようと、どこを乱暴に掴まれようと、どこに爪を立てられようと、それがすべて、気が遠くなるくらいの快感に変換されてしまうのです。
 全身の皮を剥かれて、むき出しの肉に触れられているような感覚、とでも表現したらいいんでしょうか。
 
 下品な表現になりますが……まるで全身がクリトリスになったような気分です。

 主人の一挙一動、一突き、一突きが、ふだんの絶頂のときに感じる感覚の何倍にもなってわたしを責めたててくるのです。

 もう死にそうでした。
 気が狂いそうでした。

 このままほんとうに絶頂を迎えてしまうと、いったいわたし、このままどうなっちゃうんだろう?

 はっきり言って、恐ろしくなりました。
 果てのない宇宙遊泳をしてるような気分です。

 何度もわたしの全身の筋肉が引きつり、気が遠くなり、わたしの声はもう、完全にしわがれて獣じみていました。

 「どうだ?すげえだろ?気持ちいいだろ?……こんな気持ちいいことがあるなんて、人生捨てたもんじゃないだろ?」
 「す、すごいっ……し、死んじゃう……ど、どうにかなっちゃう……」
 「ほ、ほら、言ってみろよ……こんなに気持ちいいセックスができて、『うれピー』って言ってみろよ!!」
 「あっあっあっあっあっあっあっあっ……………」

 もう……わたしがその日、数十回目の絶頂を満喫しようと思っているところに……ほんとうに無粋でバカなひとです。
 しかし……そんなことはありえないとは頭とはわかっていても……突き入れられるたびに主人のその部分は……さらに硬く、さらに太く、さらに長く……力強くなっていくようにさえ思えました。

 「………ほら、言えよ……言えって……こんなセックスができて、うれピーって……」
 「あっあっあっ……………ああっああっ……もうだめっ………」
 「ほら言えよ………言わないと………言わないとやめちゃうぞ………」
 「……ああっ……だめっ………言うから………言うから………やめちゃだめ……」
 「ほら……言えよ……大きな声で言ってみろよ!!」
 「………うっ………うれっ…………うれ…………」




 ……もう充分でしょう。


 これをお読みの10代の読者の方も、ドラッグの恐ろしさが充分にわかったことと思います。
 ほんとうにドラッグは人を獣にします。
 獣のように快楽を求めて悶え狂った日々を思い出しただけで……わたしは恥ずかしさで死にたくなります。こんなこと……もし息子に知られたりしたら……。

 だからわたし、もう二度と……主人にはもちろん……息子にも、顔を合わせないつもりです。

 今までわたしを支え、応援してくれたみなさん。ほんとうにありがとうございました。

 みなさんも、決してドラッグには近づかないでください。ドラッグはすべてを破壊します……それまで築き上げてきた、名声や、地位や、財産はもちろん……幸せや、愛や、家庭を……人間にとって大切なものすべてを。


 ……もういいですか?
 じゃあ、わたしはこれで失礼します。
 日本のみなさん、お元気で。

 わたしは必ず、逃げ切ってみせます。


【完】

テーマ:官能小説・エロ小説 - ジャンル:小説・文学

 「どう……?……感じる……?」

 僕は聡美の耳元でささやきながら、腰を優しく動かした。
 もちろん、いつものとおりの正常位だ。

 僕はセックスに関して、少し持論を持っている。
 
 セックスというのは、男本位、自分本位ではだめなのだ。
 できるだけ丹念に、やさしく、女性が痛がらないように、心をつかい、気をつかうこと。
 
 セックスの快感というのは男と女が共同作業で作り上げていくものでなくてはいけない。

 自分本位、男本位ではだめなのだ。
 
 
 「……気持ちいいかい?……痛くないかい……?」

 「……・・」

 聡美は答えない。
 多分、恥ずかしいのだろう。
 
 聡美はけっこうセックスに関しては控えめな女性だ。
 僕がこれまでつきあってきた女性の中でも、淡白なほうだと思う。
 というか……多分、聡美はこれまでにそれほど男性経験はなかったんじゃないだろうか。

 細身で、小さな身体。
いつもショートカットでジーンズ姿の聡美は、どこか少年のような印象を持ったボーイッシュな少女だった。

 今も僕の顔の真下で、その中性的な顔を真っ赤にして、下唇を噛んでいる。
 
 思わず……そりゃ僕も男だから……そんな聡美の様子を見ていると、少しは意地悪な気持ちになってくるときもある。

 『……ほら、こんなに締め付けてるよ……そんなにいいんだ……・』とか、
 『……いっぱい、いっぱい出てるよ……ほら、繋がってるとろこ、自分で触ってみてごらん』とか、
 『……一回、抜いちゃおうか……?……それで、自分の好きな格好になってみなよ……それで突いてあげるから』とか

 そういうことをつい口走りそうになってしまう。

 いけないいけない。

 そういう変態的な言葉は、女性を冷めさせるものだ。
 僕は女性心理をかなりよくわかっていると自認している。

 とにかく世間の男というものは……普段、どんなに優しい男であろうと、どんなに女性に対して細かい心配りができる男であろうと、つい、セックスのときとなると、上に挙げたような、AV仕込みの猥語を口にしたり、変なことをしたり、女性にへんなことをさせたりしたがることで、女性を幻滅させてしまいがちだ。

 僕はそんなことはしない。

 僕は聡美とセックスするときは、いつも正常位だ。
 バックなんてもっての外だ……あれは、愛し合うふたりにはまったくふさわしくない体位だといっていい。
 僕らは人間なんだ。セックスは人間同士がお互いを尊重し合い、高めあうための肉体のコミュニケーションでなくてはならない。

 いたずらに男性は、自分の征服欲だけを満たそうとするものではない、というのが僕の考え方だ。
 それに、あんな体位で辱められて、女性が心から喜ぶはずがないじゃないか。

 だって、お互いの顔が見えないのだ。
 
 猿ならまだしも……獣のように女性を這い蹲らせ、それに後ろから腰を叩きつけるなんて……とても僕には……いや、僕と聡美の間には考えられないことだ。


 また僕は、聡美にフェラチオ(まったく下品な言葉でイヤになる)させたり、クンニ(これもなんというか、下品な響きだ)をしたり、なんてこともまったくしない。
 
 本当の愛のあるセックスに、そんな下品な動作は不要だ。
 
 僕はセックスのとき、いつもちゃんと聡美を全裸にする前に、自分もちゃんと全裸になるように心がけている。
 いたずらに聡美だけに恥ずかしさを感じさせないようにするためだ。

 そして、長いキスをして、かるく、やさしくその小さな乳房を愛撫し、さりげない手つきでその手を下半身へ移動させ……十分に時間をかけて、聡美の入り口をやさしく愛撫する。

 挿入するにあたって、聡美が痛みを感じたりしないように、丹念に、しかし的確に聡美の快楽の中枢をやさしくなで上げながら、そこが充分に柔らかく、湿り気を帯びるのを辛抱強くマッサージしていく。

 そうしながら、ずっと聡美の顔を見つめ、耳元で『愛しているよ』『かわいいね』とささやき続ける。

 間違っても、

 『……大洪水だよ……』とか
 『……太ももまで垂れそうじゃないか』とか
 『おいおい、指入れただけでどんだけ締め付けてんだよ』とか

 そういうことを言ってはいけない。
 
 また、聡美が快感にそのボーイッシュな貌を歪めるのを見ていると、思わずサディスティックな気分が盛り上がってきて、わざと指を見当はずれなところにずらして、

 『……ほら、ほんとに触ってほしいのはどこか、ちゃんと言ってごらん

 とか、そういうことを言ってはいけない。

 そういうのは、AVの世界なのだ。つまりは、フィクションの世界だ。

 聡美の入り口が十分に潤い、やわらかくなったところで、やさしく挿入だ。

 『いくよ……』

 聡美の目をしっかりと見つめながら、彼女がコクンと頷くのを合図に、ゆっくり、ゆっくりと挿入していく。
 

 後は……今も現にしてるように、やさしく、ゆっくりと……自分の限界が来るまで、腰を動かすだけの話だ。
 

 「……どうだい、聡美……気持ちいいかい?」


 僕は聡美の耳元でささやくと、つつくようにその可愛い耳たぶにキスをした。


 「んっ……」

 聡美がぴくん、と反応する。

 「……・痛くない……・もっと、やさしくしたほうがいい?」
 「……・」

 聡美は答えない。ただ、僕から顔を背けて、小さく頭を左右に振るだけだ。

 ああ、聡美、なんていじらしいんだ。
 これほど聡美のことがいとおしくなる瞬間もない。
 そろそろ僕も……あと数十秒で、限界を迎えそうだった。

 きっと聡美も……いつもどおりのこのセックスに、満足してくれたことだろう。

 「……・・そろそろ……・いくよ?」僕は少しだけ、腰の動きを早めた「……いいかい?」
 「……・おまえ、バカかよ」聡美が、小さな声でつぶやいた。



 「え?」思わず僕は、腰の動きを止めた。多分、聞き違いだろう。そうに違いない「……なんか、言った?」
 「……・お前、バカかよ、って言ったんだよ!!!
 「ええええ?」
 「……あたしの上からどきやがれ!!!

 いきなり、聡美が僕の胸を両手でどん、と突いた。
 その力は思っていたよりもずっと強く、僕はのけぞってしまった。
 間髪いれず、聡美が足で僕の腹を強く蹴った。

 「うっ」

 ぬるり、と僕のペニスが聡美の性器から抜けて、僕はベッドから転がり落ちそうになった。

 「……・なんなんだよ!!いつも言おうと思ってたけど、何なんだよてめえのセックスはよ!!!
 
 さらに、聡美のけりが僕のわき腹にヒットした。
 あわてて肘でガードしようと思ったが、すでに聡美はベッドの上に仁王立ちになって、ベッドの上に横倒しになった僕を踏みつけるように、キックの嵐を降らせてくる。
 僕は何がなんやらわからずに、自分の頭をかばってまるで胎児のようにベッドの上で丸くなった。

 「なに?なに?なに?……・なに???」
 「なに、じゃねえよ!!!てめえ、そんなセックスで、てめえ自身は楽しいのかよ!!!毎回毎回、おんなじことばっかしやがってよ!!!」聡美はなおも僕を踏みつけるようにして蹴りを入れてくる。「『やさしい男』ってのはそれでいいけどよ……・セックスのときくらい、てめえ、我を忘れてむしゃぶりつこう、って気になんねえの???今日までずっと我慢してたけど、てめえの芸のねえ、退屈なセックスにはもうウンザリだよ!!!……毎回毎回、正常位ばっかで、フェラもさせねーしクンニもなし。それで、あたしがマジで喜んでると思ってんのかよ!!!!
 「だ、だ、だ、だって……」
 「『だって』じゃねーーーーーっての!!それでもてめえ、男かよ!キンタマちゃんとついてんのかよ!!!!
 「あっ!!……ちょ、ちょ、ちょっと……」

 いきなり聡美が僕に飛びかかってきた。
 まるで猫のような敏捷さだったが、力はゴリラのように強かった。
 そして、虎のように獰猛だった。

 聡美は僕の腹の上に馬乗りになると、ぎらぎらと光る充血した目で僕を見下ろしている。
 彼女の荒い鼻息が、胸元にかかるのがわかった。
 言うまでもないが、さっきまで僕の身体の下で赤らめた顔を背け、下唇を噛んでいた聡美は、あのボーイッシュで華奢で可愛い聡美は、もうどこかに行ってしまっていた。
 

 「ほら、これからてめえにあたしが、本物のセックスって奴を教えてやるよ!!!じたばたすんじゃねえ!!」
 「ひいっ……」

 
 あっという間に僕は仰向けに倒され、先ほど脱ぎ捨てたTシャツで両手首を、万歳の格好で固定されてしまった。
 ほとんど抵抗する間もなかった……というとウソになるかもしれない。

 その直後、僕の頭には目隠しとして聡美のブラジャーが結わえつけられた。
 
 「ああんっ……」

 大いなるショックを受けながら、僕は、”え、そこまでしちゃうんだ“という新鮮な驚きに、ゾクゾクするような感覚を……つまり、認めたくはないけれども……『期待』を抱いていたような気がする。
 塞がれた視界のせいで、僕の全身の感覚は鋭敏になtっていた。
 全身に聡美の亢奮と、粘度の高い視線を感じて…僕はシーツの上で逃げ場を求めるように身をくねらせ、よじった。
 まるで全身の皮をむかれて筋肉をむき出しにされたかのように、聡美の欲情と視線が痛いほど僕を責め立ててくる。

 「……あれあれ?どーなってんだよ?てめえ、いったいどういうつもりだよ?…だんだんチンコ、元気になってきやがったんだけどお?
 えっ……、そんな……んっあっ…い、いやっ…」

 突然、僕の性器が聡美の湿った、熱っぽい手のひらで握り締められた。

 「なんだあ?…てめえ、縛られて、目隠しされて、それでコーフンしてんのかよ?ええ?どうなんだよ?この変態!
 「あんっ…うっ…うううっ…はんっ…」

 聡美が僕の性器を激しく、荒々しく上下に扱きはじめた。
 その手が上下するたびに、まるで鞭打たれるかのような激しい感覚が僕の下半身を襲う。

 「…何、女みたいな声上げてよがってんだよ!!…あれあれ、扱いてやりゃあやるほど、先っぽjから恥ずかしい汁がどんどん溢れてきやがるぜ!……いいのか?ええ?いいのかって聞いてんだよこの変態!マゾ!オカマ野郎!!
 「……うっ……いやっ……だ、だめ……そ、そんなにしたら……」
 「こんなにチンコがちかちにしといて何言ってんだあ……?…ほれ、ほれ、こうしたらどうなんだ?」

 聡美が世紀を扱くのをやめ、いわゆるその……カリの周辺を指でぐいっと締め付けると、その……亀頭の先端に手のひらを当て……えーっと……カウパー氏腺液を全体に塗り広げるようにして転がしはじめた。

 実際のところ、目隠しをされていたので、どんな風にされていたのかはわからない。
 しかしそれは……僕にとって未体験の感覚だった。

 「はあんっ……いやあっ………それ、そこ、そんな……あああああんっっ!!
 「おっと!……簡単にイカせてもらおうなんて甘いんだよ!……ほれ、こうしたらどうなるんだあ?」
 「そ、そんな……もっと……もっと……もっと触って……イかせてえっっ!

 思い出しただけで死にたくなるくらい恥ずかしい言葉と嬌声を吐き散らしながら……僕はその後数時間にわたって、焦らされ、辱められ、打ちのめされ、何度も昇りつめてははぐらかされ、嘲笑われ、許しを請い続けた。
 
 目隠しを外されたときには、空が白んでいた。


 抜け殻のようになってベッドに大の字で横たわる僕の隣に、聡美の小さな尻があった。
 彼女は僕に背を向けて座っていた。
 彼女の肩が、かすかに震えていた。
 その小さな背中に声を掛けようとすると……もう僕の声は完全にしわがれていた。

 「……こんなのじゃ、イヤでしょ?」聡美が背を向けたまま言った。
 「………毎回、こんなのは……困るな」僕はしわがれた声で答えた
 「……毎回じゃなければ……いいの?」聡美が肩越しに、僕の顔を見下ろす。
 「……5回に……1回くらいなら………」僕はそう言って、なんとか笑みを作った。
 
 「ほんと?」聡美の顔に、小さな花のような笑顔が咲いた「……嘘じゃない?」
 「ほんとだよ……嘘じゃない」ほんとうに、嘘じゃないのだろうか?「……いや……」
 「……な、何?」聡美が、心配そうな表情で聞く。
 「5回に……2回にしよう」真心から出た言葉だった。
 
 聡美の顔に、笑顔が戻ってきた。
 そして子供みたいに笑うと、僕の耳元に駆け寄ってきて囁いた。

 「……変態


【完】

テーマ:官能小説・エロ小説 - ジャンル:小説・文学

* *

ちょーすちょすちょすwwwwwマジこれ聞いてwwww
電話して会っみたらこれが巨乳の人妻wwww
年齢は33つってたけどぜんぜんそうは見えないwwwww
ハナシ聞いてみるとこれが初めてだって言うしwww



* *


 待ち合わせ場所に立っていたのは、想像していたのよりはずっと若い感じの、一見したところふつうの会社員風の男性でした。

 このような形で男性と会うのはこれがはじめてだったので、わたしは少し緊張していましたが、男性のほうはこうしたことに慣れた感じです。

 ああ、今の世の中、こんなに普通に見える男性が普通にこういうことをしているのだなあ、とちょっとしたショックを覚えました。
 
 なんだかその瞬間に、いきなりいくつか歳をとってしまったような気がしました。
 
 男性はさりげない素振りで
 
 「え、33歳ですか?とてもそんなふうには見えないなあ・・・いや、女子大生くらいに見えたんで人違いなんじゃないかと思いましたよ」

 とかなんとかいろいろとお世辞を並べ立てました。
 実際、わたしは2歳サバを読んでいました。逆のほうに
 実際は31歳です。
 
 なんか、まだ30を過ぎたところなのにこんなことしているのが、ちょっと恥ずかしくて。
 いかにも何か、『飢えてる人妻』って感じじゃないですか。

 だから2歳、歳を上に言ってみたんです。
 そうすると男性はちょっと喜んだみたいです。
 なぜなのかはわかりません。
 
 おそらく彼のイメージしている『欲求不満の人妻』は、だいたい33歳くらいなのでしょう。

 彼はいろいろと他愛もないことを話しかけてきましたが、わたしはほとんど聞いていませんでした。
 頭の中が緊張でぐるぐると回っていたからです。

 でも、彼もしきりに話しかけてはきましたがあまり何も考えてなかったんだと思います。
 話している間じゅう、ずっとわたしの胸ばっかり見ていましたから。


* *

 ぁはへあはぁあぁあはぁ!!!ちょw ゴメww いきなりゴメンwwwwwなんか人妻さん、
 食事はいいからさっさとホテルに行きましょ、とか言い出すしwwwww!!!
ありゃよっぽど飢えてたと見たねwwwで、そのまま挨拶もそこそこにホテル街へチン入wwww



* *


別にその人と食事をしたりショッピングをしたりとか、そういうつもりもありませんでしたので、もう面倒くさい駆け引きは抜きでホテルに行きましょう、って……わたしのほうから言いました。
 
 そのときの男性の喜びようときたら、今思い出してもちょっと笑っちゃうくらいです。


 適当なホテルに入りました。
 結婚する前には、主人とよく入ったような、若いカップル向けの、それなりに見栄えが良くて、でもちょっとズレた感覚でおしゃれを装った、いかにもありがちなホテル。
 

 男性はとても慣れた感じだったので、こんなふうに知り合った女の子と・・・・・・・こういうことをするのに、いつもこのホテルを使ってるんじゃないかな、とぼんやり考えました。
 なんか、お昼だったのでサービスタイムだったみたい。
 
 男性はすごくせせこましい、というかいじましいタイプの人だったようです。
 
 一緒にエレベーターに入った途端にわたしに抱きつき、キスをしてきました。


 「え、ちょっと待ってください

 なんて言うと、いかにもこういう出会い系ではじめての体験に戸惑う人妻、みたいな感じだったかしら。


* *

うはwwwww人妻さんホテルのエレベーターの中でいきなり抱きついてくるしwwwww
そのままDeepに舌絡めまくりの唾液飲みまくりwwwww
さすがにズボンのチャック下ろそうとしたときは焦ったwww
ちょwwwww奥さんwwwww部屋まで待てないの?って感じwwwwww
やっぱ人妻さん、ソートー飢えてたと俺は見たねwwwwww



* *


 「いいじゃないですか、奥さん」

 とかなんとかいいながら、男性はわたしのおっぱいを引きちぎらんばかりの勢いで揉み、ブラウスのボタンを外し、スカートの中に手を突っ込んでパンツを脱がせてきました。

 「だ、だめです。だ、誰かに見られたら
 
 わたしも言葉では抵抗しましたが、何せこういう状況ですので、それなりに昂奮していました。

 実際、そういうつもりで来ていたわけですので、ここまでダイレクトに反応していただけるとやっぱり嬉しい。

 
 「何が困るんですか。こんな時間にここに来てるのは、みんなヤリにきてる人ばっかりですよ。僕らだってここに、ヤリにきたんでしょう。ここが図書館だったら、そりゃ奥さんも困るでしょうけど、ここはラブホテルですよ。ラブホテルでこんなことをしてるからって何か変ですか。ぜんぜん普通じゃないですか」
 「で、でも、せ、せめて部屋に入ってから・・・」
 「だめですよ。僕ははじめからテンションを上げていかないとダメなタイプなんです。ほら、触ってみてください。僕のテンション、もうこんなに上がってますよ」 
 「あっ・・・・・・す、すごい


 彼はわたしの手をズボンの前に導きました。確かに、すごかった。
 布地を通して、彼の脈が伝わってくるようでした。
 わたしはなんだか頭がぼーーーーっとしてきました。
 
 エレベータが部屋の階につくと、わたしは彼に引きずるられるようにして部屋まで運ばれました。

 その間も彼は、キスしたりブラウスのボタンを外したりスカートの中でパンツを脱がそうとしたりをやめません。
 二人の体が部屋のドアの内側に収まったときには、わたしはもう、ほとんど半裸状態でした。


* *


 ヤバwwwwヤバwww人妻マジヤバwwwww部屋に入るなり俺のチムポ引きずりだすやいなや、
 いきなりバキュームはじめるから俺焦ったwwwww
喉の奥までディープキメラれて、俺もういきなり(^^;即!昇!天!しちゃいまちたwwww
でも人妻さんそのままゴックンして、止めてくんないの(^^;
 強引に復活させられてそのまま2発目に突入wwwww
マジ殺されるんじゃないかと思って不安になったよwwwwwwww



* *


 当然シャワーなどにいく余裕もなく、彼はわたしを全裸にむき上げると自分も下半身全裸になりました。

 すっごく勃ってました。
 
 まあ人のことはともかく、わたしにはすごい衝撃でした。
 ああ、この人、わたしのせいで勃ってるんだな……と思うと……というのも、最近主人とほとんどセックスしてなかったんです。

 って書くとほんとうに飢えてたみたいでイヤなんですけど。

 実際飢えてたのかも知れません。
 こんなふうに自分に対して関心を向けられることに飢えてたんだと思います。
 見た目にわかりやすいでしょう?

 というのも、結婚してからこっち、主人以外の人がこんなふうにわたしに欲情しているのを見たことなかったから。
 バカみたいと思われるかも知れないですけど、自分がそういう感情を他の男の人に抱かせる、というか湧かせることができたということが、何か理屈抜きで嬉しかったんです。


 なにか突然、頭の中でこれまで動いてなかった歯車とかポンプとかが、いきなり再稼動しはじめたような気がして・・・・・・気がつくとわたし、その人のものを口に含んでいました。

 主人にはしたことないような舐め方もしました。
 主人だったら……もともと淡白な人だから……ちょっと引いちゃいそうなこともしてみたかな。
 それまで頭の中にあった、いろんな知識を総動員して、舌を使って頭を使って夢中で舐めました。

 男の人は大喜びで、あっというまにわたしの口の中に出しました。


 「……はあはあ………す、すごいですね、奥さん……」
 「す、すごいですか?

 わたしは彼が引いていないか、ちょっと心配でした。


* *


ほーれほれほれ!!!やっぱ電マ、すごいっすwwwww
人妻さん、白目剥いて数分間で逝きまくりwwwwww
3回潮吹かせてやったけど、まだ足りないって(^^;



* *

 その後彼がわたしにしたことはちょっと字数の都合で全部詳しくは伝え切れません。

 結構驚きました……最初見たときはいかにもふつうの会社員に見えた彼でしたが、彼の鞄の中にはいろいろなものが入っていたんです。

 ピンクローター、っていうんですか?
 あの、ちっちゃいプラスチックのカプセルが、モーターで動くやつ。
 あと、様々な形をした電動器具。
 さいきんはすごいのがあるんですね。

 一見すると電動マッサージ機にしか見えないのに、その先端にいろんなアタッチメントがくっつけられるようになってるんです。

 そういう電気製品から、手首を拘束する器具。
 手首が痛くなったり、後が残ったりしないように、なんかいろいろと気を使った処理がほどこしてあるみたいでした。
 その他には、目隠し用のナイロンの帯、とか。ローション、とか。

 そういうのが次々と彼の鞄から出てくるのです。
 まるで『ドラえもん』の4次元ポケットみたいに。

 別に怖くはなりませんでしたけど、さすがにちょっと引きました。
 
 「…奥さんは……こういうの……お嫌いですかね」すべての品々を前に、彼言いました。
 「っていうか…そういうの……あんまり経験がないもので」
 「…そうなんですか?」

 まるで、誰もがこういうものに慣れ親しんでいるかのような口ぶりでした。
 例えば、『え、奥さん自転車に乗れないんですか?』っていうみたいに。
 え、そうなんでしょうか。こういう出会い系の世界では、こういう品々を用いていろんなプレイを試してみたりするのが、フツーなのかしら。

 ちょっと自信がなくなってきました。

 「……で、でも……」わたしはちら、と彼の顔を見上げて表情を伺いました「…興味はちょっと……あるかも」
 「そうですか???本当ですか???」彼が鼻息荒く叫びます。
 「ひっ……で、でも……痛いのとか……そういうのはイヤですよ」
 「もちろん!!!」その時の彼の輝くような表情ときたら…まるで少年のようでした「……任せてください!!その点は大丈夫です。いやあ……感激だなあ……奥さん、僕たち実は、案外ウマが合うかもしれませんね。……そうか・・・奥さんの旦那さんは、こういうのにあんまり興味がないんですね・・・へーえ…ふーん…」
 
 何か独り言をぶつぶつ呟きながら、彼はベッドの上に広げた品々の物色をはじめました。

 確かに、主人とはこういう器具を用いたことはありません。
 事実、なんだかこういう器具が家庭のどこかに……たとえばタンスの奥とかに仕舞い込まれている、というのは非常に奇妙な感じがしますし。
 
 しかし主人だって…わたし以外の相手と、こんなふうに内緒で遭ったりしたら、こういうセックスをしたがるんじゃないかと思います。
 いや、実際してるのでしょう。


 主人が外で誰か知らない相手と遭っているのは明らかです。
 

 そのことに対して確信を抱いたときは、そりゃあもう、わたしだって人間ですから、人並みに腹も立ちましたし、嫉妬したりもしました。
 そう、『わたしというものがありながら何で???』というやつです。


 でも、今日・・・こんなにオモチャに囲まれて幸せそうな彼を見ていると・・・少しだけ、主人が浮気をしたことの理由とその気持ちが、理解できたような気がしました。


 つまり、主人は、わたし以外の相手と、わたし相手ではできないことをしたかったんじゃないでしょうか。

 
 『自分の妻相手にはこんなことはできない』なんていうのは、主人の単なる思い込みにすぎません。
 わたしだって、主人がこんなことを求めてきたら・・・当然、戸惑いはするでしょうけれども、最終的にはそれを受け入れ、それなりにいっしょに楽しむことができたと思います。


 でも変ですよね、男の人って。
 そういうのは、家庭に持ち込むべきじゃない、と勝手に思い込んでるんだから。


 今、なんだか禍々しい形の電動式のおもちゃを手にとって、その使用法と効果について得意げに喋っているこの男性にしてみても……わたしはほとんど彼のいうことを聞いていませんでしたが……もし彼に、妻や子供がいるなら、そ絶対かれは家庭にはこんな禍々しいものを持ち込んだりしないでしょう。


 彼にしてみれば、わたしとホテルで過ごしているこの時間は、妄想をできるだけ現実に近付けるための、非日常の一部なのです。

 
 たぶん彼だって……四六時中、こんなふうにエロいことを考えたり、それをいかにして実現するか、とか、そんなことばかり考えているわけではないと思います。
 わたしは、彼の日常の隙間隙間に設けられた、コーヒーを飲んで一服するような息抜きの瞬間を、一緒に過ごしているのです。


 ああ、そうか。と、わたしは思いました。

 これが、浮気なんだな、と。


 そう思うと、なんだか少しだけ、気分が軽くなってきて……その後、彼が好きなように器具を用いてわたしの身体をモテアソブのに、身を任せることができました。


 正直な話、けっこう良かったです。
 でも、毎晩これだったら困るかな。



* *


まじヤベエwwwwww人妻さん、泡吹いてヨガリまくってさすがに焦ったwwwww
「こんなの初めて!!!癖になっちゃいそう!!」とか
白目むいて叫びまくりwwwww
おれのティムポ、掴んで離さないしwwwwww
ダンナさん、よっぽど構ってやってなかったんだな、って感じ?wwwwwwww


* *



そこから2時間ほど、彼はいろんな器具を用いてわたしを楽しませてくれました。
 こんなこと言うとヘンだと思われるかも知れませんけど、なんかその間は、子どもも頃に戻ったみたいに楽しかった。

 まあ、ようするに気持ち良かったんだろ?……って言われると、それはそうなんですけど。

 それだけじゃない、っていうのかな。
 なんか、ひとつのことにこれくらい夢中になってる相手に乗せられて、こっちも夢中になる、みたいなことってここのところ……というか、結婚してからずっと、ご無沙汰だったような気がします。

 主人が浮気したのも、こんな感覚が欲しかったんだろうな、と、しみじみ感じました。

 悪くないですよね。
 まるで、思いっきり無邪気な気分でジェットコースターに乗ってるような気分。


 でも、わたしはわたしで……勝手に楽しんで、それは満足したんですけれども、彼のほうはちょっと気の毒でした。


 ……その……なんていうんですか?
 いろいろと……道具を使ったり、いやらしいことを言ったり、わたしにへんなことを言わせたりで……彼も大変だったんだと思いますけれども……。

 

 つまり……最終的に……ちょっと、元気になりきれなかったんですね。

 わたしもいろいろと、努力はしたんですけれど……。

 結局……彼は元気になりませんでした。最後まで。


 だから……どうなんでしょう?わたしは、浮気をしたことにはならないわけなんでしょうか?


 いや、それはあまりにも虫のいい話ですよね。
 だって……それ以外のことはほとんどといっていいほどしましたし……身体の表面で、彼に触られなかった部分はないというくらいです。中のほうも……ずいぶん奥まで、しっかりと触られましたし。


 最後のほうなんか、ちょっと彼がかわいそうになりました。
 だって……なんか、目に涙が浮かんでましたから。

 「……その……」わたしは言いました「……気にしないでくださいね。わたしは、これで……ぜんぜん満足ですから」
 「…………」


 彼は力なく笑いました。
 その顔は、はっきりこう言っていました。

 『ああ、あんたはそうだろうよ


* *


ちょwwwwwwこんなの、マジであり?wwwww
おれ、マグロ状態で横になってるだけで、勝手に人妻さん上で腰振って
一人でイキまくりwwwww
5回イッたとこで、ようやく許してもらったけどwwwwww
結局、おれ寝てるだけで7マソゲットwwwwwwww
こんなんじゃマジ働く意味ねーーーーーー!!wwwww
おれ、充分これで稼いだから、みんなに情報公開するよwwwwww


* *


 別れる前、彼はわたしに、黙って2万円を差し出しました。

 「え、そんな。いいんですか?…………だって……」
 「いいから、受け取ってください」

 有無を言わせぬ態度だったので、ほとんど仕方なく受け取りました。


 ほんとは……お金なんかいらなかったのに。
 そのお金は……後に残るようなものを買って、『彼の思い出』みたいなものが手元に残るのも感じが悪かったので……その日、はじめてパチンコ屋さんに入って、『CR 火垂るの墓』でわけもわからないうちに、あっという間にすってしまいました。

 やっぱりパチンコは、向いてないみたいです。


 それ以来、彼とは会っていません。

 主人とは、それなりに上手くいってますが……ときどきあの、彼とのひとときが、懐かしくなるときがあります。

 ほら、時々ふと、ジェットコースターに乗ってみたくなるような感じ。

 …………。

 ジェットコースターが好きな人でないと、わかりませんよね。そんな気持ち。

 


 こんな33歳(31歳)の主婦と、楽しい時間を過ごしませんか?

 あ、彼はわたしの身体を見て、こんな風に言いました。

 『すげえぜ、奥さん、とても子どもを産んだカラダとは思えねえぜ

 実際、子どもはまだですけど。


 興味のある50歳までの素敵な男性(既婚・未婚問わず。デブ不可)、連絡お待ちしています。


【完】

テーマ:官能小説・エロ小説 - ジャンル:小説・文学

 以前から疑問に思っていたことがある。

 さいきん、AVをはじめとするありとあらゆるエロ分野ではもはや必須項目になった感さえある、いわゆる『潮吹き』に関してである。

ウィキペディアにおける『潮吹き』の定義は、以下のようなものだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BD%AE%E5%90%B9%E3%81%8D_(%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%AB%E3%83%88)

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

英語では、Squirting又はFemale ejaculationすなわち女性の射精と呼ぶ。

1944年、ドイツの産婦人科医であるエルンスト・グレフェンベルグらが、膣前壁の尿道の内側表面つたいにある性欲を喚起する場所と表現する部位を発見し、1950年に論文発表した。この時、その部位を刺激しオーガズムに達すると膣口から出る粘液が人によっては10cmほど飛ぶ事も有ると述べられた事から、グレフェンベルグの頭文字を取ってその部位はGスポットと呼ばれる様になり、女性の射精説が誕生した。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ……さて、最近のアダルトコンテンツ、特にAVの世界においては、この潮吹き作業はまるで入浴の前のかかり湯くらいに当然の工程として提示されている場合が多い。

 男優が手のひらを上にし、中指(薬指が併用される)を女性の膣内に深く挿入。
 激しく前後運動、上下運動をたくみに、荒々しく行うことにより、対象女性は激しく反応し、身悶える。


 「いやっ、だめっ、そこっ、あっ……あっ…あっ……あああ~……あ……はぁ……


 みたいな感じで女性が全身を脱力させると同時に、女性の膣内から噴出した(らしい)一見尿のような、サラッとした感じの液体が噴出し、まるでスピルバーグの映画『プライベート・ライアン』冒頭におけるオマハビーチでの激戦で被弾した兵士の体から飛び散る血しぶきのように、アオリで女性の痴態を捉えていたカメラのファインダーに、液体が飛びかかる。


 すさまじい演出効果である。

 将来的に『3DAV』のようなものが発明されたら、当然のようにこの液体が鑑賞者の顔目掛けて勢いよく飛んでくるのであろう。

 
 そうして『潮吹き』を終えた女性は、いかにも茫然自失、という感じになってベッドやら床やらにへたり込む。



 さて、こうしたシーンが主要なポルノ鑑賞者であるところの男性を過剰に刺激するのは何故だろうか……?


 それはつまり、女性の『潮吹き』が、女性のオルガスムスにおける『絶頂感』を視覚的に表現し、それが男性のオルガスムス時の身体反応……つまり『射精』をアホでもわかるように連想させるからであろう。


 果たして、いわゆる『潮吹き』というものがすべての女性に起こりうる身体反応なのか、というかむしろ、その反応がオルガスムスを意味しているのか、という点においては大いに疑問がある。



 もしこういうことを真面目に議論している人々がいるならば、とことん論議してほしい。
 語りつくせないことは、語り続けなければならない。


 さて、そうした女性側の真実はともあれ、女性を激しく指攻めして潮を吹かせたい、という男の願望はつまり、自らの性器への刺激から得られる快感と絶頂を、女性の肉体を用いて再現し、同じような絶頂感を女性とともに分かち合いたい、という男性の複雑な性的アプローチのたまものであるといえる。


 つまりすべての男は、当然のことながら、自分の体のように女性の体を理解しているわけではない。


 セックスにおける愛撫で、女性がどのように反応するのか、どのように絶頂を迎えるのか、については、自らの普段感じている男性の肉体における快楽のあり方をもとに、想像するしかないのである。


 女性に潮を吹かせたい、と願う男性はつまり、女性の肉体を『基本的には男性の肉体とそう変わらないものだ』という認識のもと、自らが感じる至上の快楽である『射精』から得られる快感を、女性が『潮吹き』によって得られると考える。


 ってーか、そういう男はこう考える。

 男も女もしょせんは同じなのだから、どこか一箇所、性感の中枢となる部位が存在するはずであり、そこに対する集中的で執拗な刺激を加えることによって、いかなる女性も絶頂を迎えるにちがいない。いや、そうでないとおかしい、と。


 実はこれは、男の性感が(女性から見れば)大変奇妙節操がないものであることに起因している。


 男性の場合、陰茎への刺激はいかなる場合においても……機能的に問題のある人は除くとして……感覚として無批判に、かつ無条件に、性的快楽として変換される。
 これは嘘ではない。
 
 ちんこを他者からしごかれると、その相手が誰であろうと、その状況がいかなるものであろうと、男は性的に反応する。

 
 別に村上龍ではないので、すべての男が消耗品だ、などと大上段に構えて述べるわけではないが、これは男という生物の、悲しい事実である。


 そして、そのまま刺激を与え続ければ(性的なコンディションが良い人間であればなおさら)、尿道からカウパー氏腺液があふれ(いわゆる、なんだかんだ言ってこんなに濡れてるじゃねえか状態)、そのままさらに続ければ確実に射精する。





 そのことで、どうしても書いておきたいことがある。

 わたしがまだ何もしらない中学1年生の少年だったときの話だ。

 クラスメイトのイイヅカ君から、奇妙な相談をされたのだ。


 イイヅカ君は、非常にやんちゃで、子どもっぽいところもあるが、気のいい、明るい少年だった。
 しかしその朝、彼はものすごく沈んでいた。
 どうしたんだ、と問いかけたわたしに、イイヅカ君は驚くべき告白をした。


 「西田、お前……電車で痴漢に遭うたこと……ある?」
 「……ええ?」
 
 彼は非常に真剣だった。いつものおちゃらけた雰囲気は、影すら見えない。

 「……ここんとこ……毎日遭うんや……朝……電車で、毎日おんなじ奴に」
 「え、それってあれか、いわゆる、『痴女』っちゅうやつか?」
 「……それが……おっさんやねん。ふつうの、デブで、加齢臭バリバリの、汚いおっさん」
 「……えええ?」

 なんとまあ……どちらかといえば女性的で、女子に、それも上級生の女子生徒から人気があった美少年のわたしならまだしも、彼のようにいかにも『オトコノコ』的な少年が、そんな憂き目に遭うとは。
 
 ホモの痴漢のうわさは聞いたことがあったが、まさかこんなに身近な話として聞くことになるとは。

 「……でも、犯人わかってるんやろ?……駅員に突き出し立ったらええやん……」


 いつも元気でやんちゃなイイヅカ君のことだ。
 まさかデブで加齢臭バリバリの中年オヤジのことが怖い、なんてことはあるまい。
 

 ……いや、まてよ。
 そうではないのかも。

 わたしは自分の身に置き換えて考えてみた。
 突然、満員電車で痴漢行為をはたらいてくる変態男。
 男が怖いというよりも、その変態男が何を求めているのか、それを想像すると不気味である……相手は同性の少年だ。
 男が究極的に求めているものは、一体なんなのか。


 ……それを考えると……なぜか心なし……わたしの股間もムズムズしてきた。

 「そんなん簡単に言うけど……実際されてみたら、めちゃくちゃ恥ずかしいし、大きな声なんか出されへんわ。……そしたらおっさん、だんだん調子に乗ってきよって……」
 「何されたん?」完全に純粋な好奇心で、わたしは聞いた。
 「……チャック……下ろされて………ズボンの中に手入れてきた………」
 「え???……直に、ちゅうことか?」
 「いや……最初のうちは……パンツの上からやったんや……こりゃヤバイ、あかん、大声出して、助けを求めんとヤバい……思たよ、そりゃ。でもなんか、もうすでにチャック下ろされて、ズボンの中に手突っ込まれてるわけやん?……なんかそんなんされてんの、人に見られるん、めちゃ恥ずかしいやろ?………それに………」
 「それに?」
 「これ、ほんま、誰にも言わんといてくれよ。お前やから話すんやぞ。絶対秘密やぞ」
 イイヅカ君は、真剣だっただった。

 「言わへんよ。誰にも言うかいな……」
 「……俺な、なんかへんな気分になってきて……このままおっさん放っといたら、一体どこまでしよるんやろう、って……なんかへんな好奇心がわいてきたんや……いや、自分でもおかしかったんやと思ってる。充分わかってるけどな……なあ西田、自分のことに置き換えて考えてみてくれ……なあ、お前やったらどうする?」
 

 「……お、俺は……」
 すでにその時点で、ゆるく勃起していた。
 断じてわたしは、イイヅカ君に同性愛的な感情を抱いていたわけではない。
 想像力が豊か過ぎただけだ。


 「……それで、あえて、あえてもう、なんでもないふりして、おっさんの事、無視しとったんや……そしたら……おっさんの手が……パンツの上のゴムのほうから中に……」
 「え……………つまり………直で来られたんか?」
 「そう、直や。しっかり、がっしりと握られた……おれ、めちゃくちゃ恥ずかしいけど……その時点で、かなりギンギンやったんや。自分でも信じられへんけど……」


 イイヅカ君の顔は紅潮し、目は充血していた。
 わたしが告解師でもあるかのように、彼が言葉を続ける。
 告解師であるわたしの勃起は、ごまかせないくらいになっていた。
 鼻息も、荒くなっていた。


 「はじめて……はじめて人に握られると……あんなに感じが違うもんなんやなあ……なんか、気持ちええというか、痛いくらいやった。腰ぜんたいが、じ~んと痺れてきて……頭の中がグラグラ回ってきて……それからは……ゆっくり……ゆっくり……なんかめちゃくちゃ焦らすみたいに……こってりしごかれた……特急電車やったしな……なかなか駅につかへんから、ほんま、10分くらいは……シコられてたと思う……なんか……先走りが垂れてきて……それを……ちんぽ全体に塗り広げられて……くちゃ、くちゃ、って……音までしてくるし……」
 「で、最終的に、イってもうたわけか?」

 もう少しましな聞きようもあったろうが、何せわたしも中学一年生だった。

 「……我慢したよ……めちゃくちゃ我慢した……あかん、ここでイってもうたら、俺もうおしまいや……なにがあってもイってもうたらあかん……って……歯くいしばって、つま先踏みしめて、ひたすら耐えたわ……でも……わかるか?……そんなふうにわけのわからんオヤジにシコられて、ああ、あかん、イったらあかん、って自分に言い聞かせたら言い聞かせるほど……ますます全身が痺れてきて……俺、あのときばかりは神に祈ったわ」

 「神に?」うちの中学は、私学でキリスト教系だった。

 「神様、お願いやから、イかせんといてください……ぼくにイくのを我慢する力をください……いま、その力をくれたら……一生を神様に捧げます……って……おれ、いつも宗教の時間は寝てて、ぜんぜん関心ないけど……あんなときばかりは、神様に頼ってまうもんやな……でも……あかんかった……神はおらんかった

 「つまり……」わたしは唾を飲み込んで、声を整えた「イってもたというわけか」

 「ああ、あんなに我慢させられて、イったんは始めてやった……ものすごい量が出たわ……パンツが、グショグショになるくらいに……電車が駅についたら、慌てておっさんツキどばして、駅のトイレに駆け込んだわ……パンツ脱いで、捨てるためにな」
 「っちゅうことは……お前今、ノーパンなんか」
 「そうや……でも、パンツ脱いでびっくりしたんやけど………パンツの中に……これが入ってた」

 
 そういって、イイヅカ君は……ビニールの小袋に入った五千円札を見せてくれた。
 




 これはあくまで、わたしが彼から聞いた話であって、ほんとうのことかどうかはわからない。


 しかし……わたしはいまだにAVで潮を吹かされる女性を見るのが好きである。
 そして、それを見るたびに、イイヅカ君のことを思い出す。


 これらのことはまったく関係がないのかもしれない。

 あるいは、何か深いところでつながっているのかもしれない。


 愛と肉欲のように。
 慈しみと憎しみのように。


【完】

テーマ:官能小説・エロ小説 - ジャンル:小説・文学

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西田・フォン・三郎

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