「あんた、あたしの妹が目当てなんでしょ」
香織がまっすぐに俺の目を見て言った。
どうやら冗談ではなくマジメらしい。
おれはできるだけ自然な笑顔を作ろうと、必至で意識を顔面に送った。
ちゃんと顔面に伝わっただろうか……?
いや、ダメだ。
香織はまだ怒っている。
「なにを言いだすかと思えば……いったい、どうしたの?何かあったの?」
「なんかあったの、ってよくそんなトボケられるわね。ってかあんた、前から思ってたんだけど変態だよね」
「変態って君、何を言うんだよ。だいたい君の妹ってまだ……」
「中学2年。ね、あんた。14歳だよ。そういう子に欲情するのって、変態じゃん!!」
なぜか俺はのどがカラカラに乾いてきた。
意味もなく煙草が吸いたくなった。3か月前にやめたのに。
「ちょっと待ってくれ。なんでおれが変態になるんだよ。というか、なんで俺が君の妹に欲情してるなんて言い出すんだよ。おれが一体、何をしたってんだ?」
ちゃんと君とだって定期的にセックスしてるじゃないか、とおれは思ったが、口には出さなかった。
「だいたい、あんた、煙草やめたよね。それって確か、3か月前からだよね。それって、あたしの家にはじめて来てからだよね。妹に会って、妹に『えー、いまどきタバコ吸ってるなんて超いけてない』って言われたからでしょ???」
「関係ないよ。前からやめようと思ってたんだって」
「ウソつき!!!だってあんた、あたしが何度タバコやめて、つったって、やめてくんなかったじゃん!!!……何で?何で妹に言われたらソッコーやめたわけ?」
「……関係ないって。たまたまタイミングが……」
「それに、妹あの日、制服だったよね。確かに妹はあたしが行ってたのと同じ中学に通ってるけど、あんたあれ以来、『……中学の頃の制服ってまだ、持ってたりしないの?』ってあたしにしつこく聞いてくるじゃん!!!!」
「男はみんな制服に弱いんだって。誰だって彼女に一度はお願いするもんだよ。それくらい」
……そうなのだろうか?
香織をなだめながら、自分の言葉に自信がなくなってくる。
「ロリコン!!変態!!!あたし、知ってんだから。あたしとデートしてる最中も、エロいお姉さんとかには目もくれないのに、女子高生とか女子中学生とかとすれ違うと、あたしに気づかれないように目で追ってニヤつうてんじゃん!!」
「そりゃ気のせいだよ!!俺はちゃんとした歳のエロい女の方が好きだって!!」
「じゃあなんでニヤつくのよ!!」
「『ああ、おれにもあんな頃があったなあ』と微笑ましく思ってるだけだって!」
「よっっっっっっっっっっくもまあ、そんなフザケたデタラメほざけるよな!この変質者!!けだもの!!!……じゃあこれどうよ。あんた、基本的に巨乳ダメじゃん?そうでしょ?……あたし、裕子に聞いたんだから。あたしがいない飲み会で、裕子が酔っ払ってあんたに抱きついたとき、あんた足で裕子蹴飛ばしたらしいじゃん!!!『触るんじゃねえこのメス牛が』とかなんとか言って!!」
「いや、酔ってたから……ってかそれって、君に批難されなきゃならないエピソードじゃないだろ?」
確かに蹴った。裕子は酔うと、誰彼かまわず抱きついてくる巨乳女だ。
ブサイクのくせに、巨乳の自分に抱きつかれると男はみんな喜ぶ、とでも思ってるようだ。
大きな勘違いだ。しかもあの女の話には、下ネタが多い。いや、別に下ネタは結構なのだが、どれもこれも聞いてて疲れるくらいつまらないのだ。
「あんた、なんであたしと付き合ってるか、あたし知ってるよ。あたしが、おっぱい無いからだよね?貧乳だからだよね???それで童顔だからでしょ?おっぱいもおしりも無いからでしょ?……どうなのよ???言いなさいよ!!!この、ロリっぽいとこがいいんでしょ?」
「お、おい、ちょっと待てよ」
いきなり香織は立ち上がって服を脱ぎ始めた。
やばい、いくら俺の部屋とはいえ、まだ真昼間だ。カーテンも閉めてない。
しかし香織はどんどん服を脱いでいく……まるで国営放送の子供番組の人気コーナー『パジャマでおじゃま』みたいに。
いや、何を考えているんだ俺は。
慌てて立ち上がって止めようとしたが、もうすでに香織はパンツを足首から抜き取っていた。
「見なさいよ!!!このロりロりした体がいいんでしょ???」
華奢な青白い肉体に、立った状態ではほとんど確認することのできない微かな乳房の隆起。
あばらの浮き出た上半身にまっ平らな腹。女性的な肉質のない、まっすぐな細い脚。
そして中央の茂みはまぼろしの霧の中の影のようにうっすらとしている。
おそらく香織の身体は、思春期の前半で成長することをやめてしまったのだろう。
思春期の前半といえば14歳くらいの年頃に。
つまり、香織の妹と同じくらいの年頃に。
いかん。
はげしく欲情してきた。
おれはそそくさと立ち上がると、カーテンを閉め、まるでぬいぐるみの熊のように軽い香織の身体をシングルベッドに投げ出した。
「けだもの!!!!!」香織が叫ぶ!!「やっぱりそうかよ!!!」
「畜生、違うって言ってるだろ!!!」おれは夢中で香織の肢体を上から下まで丹念にねぶりまわした。
「んんっ……このおっぱいがいいんでしょ??このぺったんこのおっぱいがいいんでしょうが!!!」
「違う!誤解だ!!!!」
「あたしを弄びながら、頭の中では妹のこと想像してんでしょ???そうなんでしょ???」
「だから違うって!!!!」おれは少し乱暴に……香織の乳首を吸い上げた。
「あっ!!……やだ、変態!!変態!!ロリコン!!!変態に犯される!!!!」
「変態って言うな!!!」
おれはいつもより激しめに香織を扱っていた。頭の中がクラクラするくらい、興奮していた。
「んっ……あっ・・・今日、妹の使ってるのと同じ8×4使ってきたんだから!!!どう?こーいうのに興奮すんでしょ??変態!!」
「だから変態って言うなよ!!!!」
「あああんんんっっ!!!!!」
一気に挿入した。
ベッドの上で、香織のしなやかな肉体がアーチを描くように反り返った。
「んああっ!!!……や、やだ、すっげー固い・・・・」
「ほうら、さっきまでの勢いはどこ行ったのかなあ???へへへ」おれは調子に乗っていた。
「け、けだものっ…・・・・変態!!!……い、妹にも、こ、こーいうことしたいんでしょ…そうなんでしょ?」
「ほら、もうそんな事はどうでもいいから……ほれ、ほれ、ほれ」
「あっ、うっ、くっ・・・・・・・・あ、あたし変態にお…犯されてる・・・・へ、変態と…つ、付き合ってたんだ・・・・」
そう言われると本当に自分が変態になったような気がして、おれはますます昂ぶり、香織に楔でも打ち込むように腰を打ちつけ続けた。
「ああんっ……んんんっ・・・だめ・・・・壊れちゃう・・・・・壊れちゃうよお兄ちゃん……
・・・あっ!!やっぱり固くなった!!!変態!!!」
もうどうでもよかった。
【完】