SOD CAFE
“LOVE”や“FREEDOM”で世界は変わらないので、SOD CAFEへ(嘲)
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 あ、またエア痴漢だ。


 反対側のドアの前に立ってる丸顔の30代なかば、いかにも溜まってそうなヨレたスーツのサラリーマン。
 今日発売の『ビックコミックスピリッツ』を読むふりをしながら、ちらちらとあたしのむき出しのひざ小僧と、紺のハイソックスのあたりを視線でくすぐってくる。


 あたしは今日、部活ですりむいたので、膝小僧にバンドエイドを貼っていた。


 どうもそれが、おっさんの目に留まったらしい。

 エア痴漢にとってチラ見は、運動の前の準備体操、映画の本編の前の予告編、コース料理のはじめのオードブル、あるいはセックスの前の前戯、または本ものの痴漢が手のひらで本格的に揉んでくる前に手の甲で遠慮がちに触れるあの動作と同じだ。


 おっさんがチラ、チラと視線を向けてくるたびに、あたしの左ひざ小僧の傷が、なぜだか反応してズキン、ズキンとうずいた。


 あたしは何故か、照れくさくなってうつむいていた。


 あたしが気付いていないと思っているのだろうか。
 おっさんはチラ見から次の段階に移ったようだ。


 今や、手にしている『ビッグコミックスピリッツ』に目をやりもしない。
 ただ、手に持ってるだけ。
 視線はあたしの膝小僧から這い上がり、太腿あたりを撫ぜている。


 あたしはぞくっ、と武者震いみたいなものを感じて、全身に鳥肌を浮かせた。
 それがおっさんに気付かれなければいいけど。


 ああ、やっぱり今日はスカートを昨日より一折、短くしたからだろうか。
 でもこれくらいは、クラスの皆んなに比べたら、ずっと長いくらいだ。
 少なくとも、2センチは長い。


 こわごわ、少し視線を上げて……おっさんの顔を見た。


 おっさんは目を血走らせて、あたしの太腿をガン見していた。


 『いやっ


 あたしは思わず顔を背けた。
 気が付けばほっぺたがぼうっと熱くなっていた。
 心臓がどきどきして、その鼓動が耳の中まで響いていた。
 呼吸が乱れて、最近ちょっと出っ張ってきたブラウスの胸が、激しく上下していた。


 だめだ、ここから逃げないと。


 でも、車内はある程度混んでいて、人込みを掻き分けて別の位置に移動するのは、いかにも不自然だ。
 かといって見られているだけでおっさんに『やめてください』と言うのも何だし……。
 あたしはどうしていいかわからなくなって、もじもじと太腿をすり合わせた。


 そんなあたしの反応に気を良くしたのか、おっさんはさらに大胆に、あたしの太腿に視線を絡めてくる。
 まさに絡み付いてくるようないやらしい視線だった。


 触れるか触れないかの微妙な加減で(触れてないけど)撫で回され、逃れる術のないあたしの太腿は何度も……ひくっ、ひくっ、と男を悦ばせる反応を見せた。


 『もうやだ……これ以上、これ以上見られると……』


 おっさんにとってあたしは、これ以上ないというくらいに美味しいカモだった。


 せめてもの抵抗として……あたしは躰を何とか動かして男に背を向けてみた。それがどんな悲劇を生むとも知らずに……あたし、なんて子供だったんだろう。


 窓から外の景色を見るふりをして、おっさんの視線のを感じないように、感じないように、意識を分散させようとした。


 でも、おっさんはそんなことで諦めるようなやわなエア痴漢ではなかった。


 『ひっ……そ、そんな


 むしろあたしは、背を向けることで少しテカりの出たスカートのお尻を、おっさんの前に差し出していたのだ。


 『だ、だめっ!』


 太腿の裏側からお尻へ続くラインを、おっさんの視線が這い上がってきた。
 そしてスカートの裾のぎりぎりのラインを執拗にくすぐりながら……あたしのさらなる反応をなんとか引き出そうとする。


 おっさんの視線は、レーザー光線になってあたしのスカートを焼き尽くさんばかりだった。
 念力で引き裂かんばかりだった。


 レーザー光線でも念力でもいいけど、この込み合った車内でスカートを取り払われて、パンツを丸出しにしている自分の姿を想像した。
 その恥ずかしさを想像するだけで、あたしはもう、気が遠くなりそうだった。


 『早く、早く駅について……お願い……』


 あたしは目を閉じ、しっかり唇を結んで、ひたすらあたしの太腿を撫で上げるおっさんの視線に耐えていた。


 でも、甘かった。
 おっさんはその限られた時間で、あたしを辱め尽くすつもりだったのだ。


 『……そ、そこは……そこはだめっっ!!』


 なんとおっさんは、緊張と亢奮でじっとりと汗を吹き出していた、あたしの膝の裏をねぶりはじめたのだ。


 “……おやおや……こんなにじっとりさせて……なんていやらしい子なんだ……“


 おっさんがそんなふうに、あたしの耳もとで囁いた(気がした)。


 『だめっ……そんな、そんな、そんな汚いところを……ああんっ!!』


 あたしが羞恥で身悶えれば身悶えるほど、おっさんはさらなる嗜虐心をかきたてられ、さらに執拗な視線による愛撫をエスカレートさせた。
 気がつけば目の前の窓ガラスが、あたしが吐いた吐息ですっかり真っ白に曇っていた。


 『も……もうだめ……これ以上、これ以上されたら………』


 もはや立っているのがやっとという状態で、目の前が真っ白になりかけていた時だった。


 不意に、目の前のドアが開いた。
 電車が駅についたのだ。


 あたしは人込みの中、ほとんど夢遊病者のような足どりで、ホームに押し出されていた。

 


 そのまま放心状態で立ち尽くしていると、おっさんがあたしの脇を通り過ぎた。手にはあの、『ビッグコミックスピリッツ』を持っている。


 おっさんは改札へ続く階段に消える前、その丸顔をあたしに一瞬向けて、にやり、と口元を歪ませた。いや、あるいはあたしにはそう見えただけなのかも知れない。


 “良かったぜ。ごちそうさま


 おっさんがあたしに向かって、唇の動きだけでそう呟いた(ような気がした)

【完】














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